🌋【最新防災技術】海底火山の大噴火から命を守る!常時観測システムの実証実験と噴火リスクへの備え

日本列島の周辺には、伊豆諸島や小笠原諸島、南西諸島を中心に30から40もの海底火山が存在し、過去には甚大な災害を引き起こしてきました。たとえば、1952年(昭和27年)に東京の南方約420キロメートルに位置する明神礁(みょうじんしょう)で噴火が発生した際には、調査にあたっていた海上保安庁の調査船が巻き込まれ、31名の尊い命が失われています。また、約7300年前には、薩摩半島沖合約50キロメートルにある鬼界カルデラで破局的噴火と呼ばれる大規模な噴火が起こり、火山灰が北関東にまで飛散するという、非常に大きな被害をもたらした過去があります。

こうした海底火山がもたらす津波や災害のリスクを低減するため、近年、その活動状況を常に把握しようという研究が活発化しています。これまで、陸上の火山、例えば富士山や阿蘇山など全国50の活火山については、気象庁が常時観測火山に指定し、地震計や監視カメラを用いて24時間体制での監視が行われてきました。しかし、水中にあり、高い水圧に晒される海底火山は、陸上よりも爆発的な噴火は起こりにくいとされていますが、いざ噴火が起こると沿岸地域などに大きな影響を与えます。さらに、海中では火口の様子を目視できず、地震計を設置しても電波が届きにくいため、常時観測によるデータ取得が極めて困難でした。

こうした課題を乗り越え、海底火山の常時観測を実現すべく、海洋研究開発機構(海洋機構)は、画期的な観測システムの実証実験をスタートさせます。2019年(令和元年)8月からは、2013年(平成25年)から2015年(平成27年)にかけて活発な噴火活動を見せた無人の火山島、西之島(東京都)の周辺海域で実験を開始する予定です。西之島は現在こそ落ち着きを見せていますが、十分な常時観測設備が整っていません。海洋機構は、燃料や電力を必要とせず、波の力だけで航行できる無人探査機を島周辺に浮かべ、海底に設置した観測装置から音波でデータを受信し、それを人工衛星を経由して陸上の拠点へ送るという、自律的な観測システムの実現を目指しています。

さらに、このシステムでは、地中の火山活動を把握するために、磁場の微細な変化などを捉える特殊な測定装置3台を海底に設置する計画です。この重要な実験には、気象庁や海上保安庁も協力し、将来の防災業務に活用できるレベルまで性能を高めることを目標としています。海洋機構火山・地球内部研究センターの末次大輔シニアスタッフも「防災業務で使えるレベルまで性能を高めたい」と、この技術への意気込みを語っています。

この無人探査機を活用した実験は、将来、大規模噴火の可能性も指摘されている鬼界カルデラでも、2019年(令和元年)11月から開始される予定です。リアルタイムで海底火山の活動状況を把握できるようになれば、噴火や山体崩壊によって突然津波が発生しても、沿岸地域や離島の住民は速やかに避難することが可能になり、被害を大幅に軽減できるでしょう。また、周辺を航行する船舶に情報を提供することで、噴火に巻き込まれる海難事故などを未然に防ぐことにもつながります。海洋機構は、この画期的なシステムを3~4年後には、2~3カ月間連続で観測可能な実用レベルにまで引き上げる計画を進めている状況です。

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世界最先端の海底火山観測で防災体制を強化

この他にも、原子力規制委員会が、鹿児島湾内にある火山、姶良(あいら)カルデラの海底に地震計などを沈め、2021年度(令和3年度)にも試験的な常時観測を始める計画があるなど、日本における海底火山観測の取り組みは活発化しています。鬼界カルデラでは、神戸大学も専用の船や水中ロボットを用いて、マグマの位置など地下の地質構造を詳細に調査するなど、まさに知見の蓄積と観測技術の高度化が急ピッチで進んでいるのです。

これは、東日本大震災以降、原子力発電所の安全性審査などに関連して噴火リスクを調査する活動が増えたことも背景にあります。これまでの研究では、一部の火山でマグマの蓄積が進んでいる可能性や、従来考えられていたよりも高い頻度で破局的噴火が起こる兆候が見られるとの報告もなされており、海底火山の活動メカニズム解明の重要性が高まっているのです。破局的噴火とは、ごく稀に発生する巨大な噴火で、その影響が広範囲に及び、文明を危機にさらすほどの大災害を引き起こす可能性のある現象を指します。

海底火山の分布は、日本や東南アジアなど一部の地域に限られており、海外ではイタリアなどが観測に取り組んでいますが、常時観測を実現している国はほとんどないとされています。日本は世界でも有数の火山大国として、将来の防災対策への応用が期待される、まさに最先端の研究を進めていると言えるでしょう。常時観測によってデータが集まれば、これまでデータ不足から不明な点が多かった海底火山の活動メカニズムへの理解が深まり、将来の活動予測にもつながるという大きなメリットが期待できます。

こうした報道に対し、SNS上では「海底火山のリスクはもっと知られるべき」「無人探査機による観測は未来を感じる」「津波対策として非常に重要な研究だ」といった、防災意識の高まりと、最新技術への期待を示す声が多く見られました。特に、被害を未然に防ぐためのリアルタイムでの情報提供の可能性に、大きな注目が集まっている印象です。

この画期的な常時観測システムの実用化には、人がいなくても安定して動作する高い信頼性の確保と、何よりもコストの抑制が大きな課題として残されています。いかに安価で安定したシステムを実現できるか、研究者たちの英知が試される正念場に立たされていると言えるでしょう。火山学者の一人として、私はこの研究の進展が、日本の防災体制を未来に向けて大きく進化させる鍵になると確信しています。海底火山の「見えない脅威」を「見える化」することで、私たちはより安全な社会を築けるはずです。

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