2019年6月3日、長らく続いてきた関西国際空港(関空)、大阪国際空港(伊丹)、神戸空港の関西3空港における規制緩和の議論に、ついに具体的な結論が示されました。特に注目を集めているのは、これまで国際線の就航が禁止されてきた神戸空港です。2025年に開催される**国際博覧会(大阪・関西万博)**を視野に入れ、6年以内の国際線就航実現に向けた検討が本格的にスタートすることになりました。これは、神戸空港の機能拡大を待ち望んでいた関西経済界にとって大きな一歩と言えるでしょう。一方、同じく国際線が禁止されている伊丹空港は、騒音問題の解決を条件に検討が先送りされ、両空港は対照的な結果となりました。
この議論の舞台となったのは「関西3空港懇談会(3空港懇)」です。この懇談会では、「神戸空港は国際化を含む空港機能のあり方を検討する」という点で参加者が合意に至りました。座長を務める松本正義氏(関西経済連合会会長、住友電気工業会長)は、「『検討する』という言葉には、単なる話し合いに終わらせるのではなく、必ず実現させるという強い意志が込められている」と述べ、この合意が実現への重要なステップであることを力強く強調されました。
今回の3空港懇は、実はこれまで国交省が主導してきましたが、環境の激変を受け、初めて関西側から開催が求められたという経緯があります。近年、インバウンド(訪日外国人)の増加により関空の経営状況が改善したことに加え、2018年からは伊丹と神戸の両空港も関西エアポートによる一体運営へと移行。こうした背景が、規制緩和への機運を一気に高めたと言えるでしょう。
松本座長は、関空と同じく海上に位置し、騒音問題が少ないという地理的な利点を持つ神戸空港を、まず国際便就航のターゲットと定めました。しかし、直近のイベントである2021年のワールドマスターズゲームズまでの実現は、現実的に困難だと判断されています。その最大の理由として、松本座長が挙げたのは神戸空港の設備的な脆弱さです。「今の神戸空港は、国際空港と名乗るにはあまりにも小規模で、心許ない」というのが座長の評価です。国際線就航の実現には、現在の小規模なターミナルビルの拡張をはじめ、空港へのアクセスを担う道路や新交通システムの改善が必須条件とされています。
関西3空港の運営を一手に担う関西エアポートの山谷佳之社長も、小規模な国際化には慎重な姿勢を示しています。山谷社長は、「国際チャーター便であれば今のターミナルでも受け入れ可能ですが、それで国際空港と呼べるのかという疑問が残ります。国際空港として安定的に運営するためには、20~30便程度の定期便が運航できる体制が必要不可欠です」と述べ、中途半端な形で国際化を進めることへの懸念を表明されました。
一方、神戸空港の影に隠れて目立ちませんでしたが、実は今回の議論の「最大の焦点は伊丹空港だった」と、ある大阪府幹部は証言しています。特に、兵庫県の井戸敏三知事は伊丹空港の国際線就航の検討を早期に始めるよう強く主張されました。しかし、伊丹空港周辺には航空機騒音に関する問題が根深く残っているため、残念ながら伊丹空港の国際化は長期的な課題として、今回は検討が先送りされる形となりました。
現在の関空は、利用客の約7割をインバウンド、すなわち訪日外国人が占めています。これに対し、伊丹や神戸空港の周辺地域には、海外への出張需要、つまりアウトバウンド(海外渡航者)の需要が多く存在します。そのため、規制緩和が実現すれば、関空は外国人観光客向け、伊丹・神戸は国内利用者向けの国際線を中心とした「棲み分け」が可能になる道筋が模索されることになります。
関空自体も、一見すると余裕があるように見えて、実は逼迫しつつある状況です。関空の発着回数には年間23万回という上限がありますが、現在の実績は年間19万回であり、表面上は4万回の余裕があるように見えます。しかし、国土交通省大阪航空局によると、「旅行客にとって利便性の高い時間帯、例えば5月の午前9時、10時、午後0時、5時台などでは、すでに上限の45回に迫る40回以上の発着が記録される日もあり、発着枠は厳しくなってきている」とのことで、便利な時間帯の枠は着実に埋まりつつあるのです。
国内線の規制緩和は先行!神戸空港に明るい兆し
国際線検討の合意に加え、国内線については神戸空港で規制緩和が開港以来初めて実現することになりました。具体的には、1日あたりの発着回数が80回へと20回増加します。さらに、夜間の発着時間も現在の午後10時までから午後11時までに1時間延長されることになり、神戸空港の利便性は大きく向上するでしょう。
しかし、この規制緩和の動きに対して、関空に近い大阪南部の自治体からは反対意見も出ています。これらの自治体は、伊丹・神戸空港の規制が緩むことで、関空が少しでも不利になることを懸念しているのです。3空港が一括で運営されるようになった現在でも、「関西エアポートの思い通りにはさせない」と、大阪南部の市長らは強く反発する姿勢を示しています。
こうした反対意見に対し、松本座長は「関空周辺の関係者の皆様のお話にも耳を傾けながら、状況を総合的に判断し、必要とあればスピーディーに正しい方向へと舵を切る必要があります」と、決断の時期を見極める考えを示されました。関空の好調な状況が持続することや、関係者間の政治的な妥協が実現することを条件としながらも、長年の懸案であった関西3空港の規制緩和は、ようやく実現に向けて動き出し始めたと言えるでしょう。この動きは、関西経済全体の活性化に繋がるか否かの試金石となるはずです。
このニュースに対し、SNSでは「神戸空港の国際化、本当に嬉しい!関西万博に向けて期待が高まります!」「伊丹も騒音問題、早く解決して国際線に乗り入れられるようになってほしい」といった、期待の声が多く寄せられています。特に神戸空港周辺の住民からは、利便性向上への喜びが散見され、地元経済への波及効果に熱い視線が注がれていることが見て取れます。この一歩が、関西の空の未来を大きく変えることになるでしょう。
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