2019年6月1日午後2時ごろ、アメリカのサンノゼを飛び立ち、日本の成田空港へと向かっていた全日空(ANA)171便、ボーイング787型機が、三陸沖の上空で深刻なトラブルに見舞われました。機体は高度約1万3,000メートルを巡航中に緊急事態を宣言し、一気に約3,000メートルまで降下するという、緊迫した事態が発生したのです。幸いにも、このフライトに搭乗していた乗客乗員163名にけがはなく、約1時間後には無事に成田空港へ着陸を果たしています。
このトラブルは、国土交通省によって事故につながりかねない「重大インシデント」に認定され、運輸安全委員会が2019年6月5日には航空事故調査官4名を成田空港へ派遣し、原因の究明に着手しました。全日空は、この事態について「お客さまにご迷惑をお掛けし、深くおわびする」と謝罪のコメントを発表しています。飛行中に一体何が起こったのでしょうか。多くの航空機ファンや旅行者を巻き込み、SNSでは「#ANA171便」といったハッシュタグとともに、不安や安堵の声が飛び交い、「与圧システムが2系統とも停止したなんて信じられない」「無事で本当によかった」といった反響が見受けられました。
今回のトラブルの核心は、機内の圧力を地上と同じ程度に保つための生命維持に直結するシステム、「与圧」を行う空調系統が2つとも相次いで作動しなくなったことにあります。航空機は、通常、高度約1万メートル付近の酸素が薄い上空を飛びますが、この与圧装置によって、機内の空気は標高2,000メートル程度の環境に保たれているのです。しかし、今回、操縦室の計器が空調系統の不作動を示し、機内の圧力も徐々に低下し始めたというわけです。
パイロットは、万が一の場合のチェックリストに従い、乗客の安全を最優先するため、機体の高度を一気に下げました。これは、客室内の気圧が外気圧との差によって急激に低下し、乗客の健康を害することを防ぐためです。約3,000メートルまでの降下は、酸素マスクを着用しなくても人体に影響が出にくいとされる高度まで、文字通り**「急いで」**降りるという、安全を確保するための緊急操作だったのです。幸いなことに酸素マスクを出す必要はなく、降下後は無事に空調システムが安定し、通常の運用に戻ることができました。
現代の航空機は、安全性を確保するために重要なシステムには二重、三重のバックアップが施されているのが通例です。今回のように、与圧という極めて重要なシステムが2系統同時に、あるいは相次いで不具合を起こし、一時的とはいえ停止したことは、設計思想から見ても極めて稀で異例な事態と言えるでしょう。この事態は、最新鋭機であるボーイング787型機に対する信頼性にも関わる重大な問題であり、早急な原因特定と再発防止策が不可欠であると、編集者として強く感じています。運輸安全委員会の調査によって、このトラブルの詳細な背景が明らかになることが待たれます。
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