政府と与党は、富裕層が海外に保有する資産を巡る「税逃れ」に対して、これまでにない強力な対策を打ち出す方針を固めました。2019年11月05日現在、国外にある銀行口座の入出金履歴や不動産の賃貸借契約といった、具体的なお金の流れを示す「取引記録」の保管を納税者に求める検討が進んでいます。
これまでは、一年に一度、海外にある不動産などの「保有残高(ストック)」を報告する義務はありましたが、今後は「どう稼いで、どう動かしたか」というプロセスの透明化が求められることになります。このニュースに対し、SNSでは「いよいよ逃げ道がなくなる」「正直に申告している人が損をしない仕組みを」といった、公平性を求める声が目立っています。
「ストック」から「フロー」へ!所得の透明化を目指す狙い
政府は2014年に「国外財産調書制度」を導入し、5000万円を超える海外資産を持つ居住者に報告を義務付けてきました。しかし、残高という「点」の情報だけでは、利子や配当、不動産売却益といった「線」で動く所得を正確に把握するのは困難です。今回の改正は、こうした資産から生じる利益を、しっかり申告させる狙いがあります。
専門用語で「フローの所得」とは、一定期間内に新しく生み出された経済的な利益を指します。例えば、海外の銀行に預けているお金そのものが「ストック」であれば、そこから発生する利息が「フロー」に当たります。このフローを可視化することで、これまで見逃されがちだった海外での「稼ぎ」を、日本の税制で確実に捕捉しようというわけです。
新たな制度では、5000万円超の海外資産を持つ人に対し、取引実態が分かる帳簿や入出金記録の保管を促します。保管自体は義務化されませんが、提出の有無が税務調査時のペナルティに直結します。記録を提示できれば過少申告加算税が軽減される一方で、提示できなければ重い負担が課されるという、アメとムチを使い分けた仕組みです。
編集者の視点:グローバル化する資産への「包囲網」は必然
インターネットを通じて世界中で投資が完結する現代において、国境を越えた資産隠しはもはや通用しない時代に突入したと言えるでしょう。実際に大阪国税局が、韓国大手銀行の株主に対して15億円もの申告漏れを指摘した事例もあり、国税当局の調査能力は着実に向上しています。こうした厳格なルール作りは、健全な納税環境のために不可欠です。
2019年12月にまとめられる与党税制改正大綱にこの方針が盛り込まれ、2020年度の税制改正に反映される見通しです。私たちメディアの編集者としては、単に増税や規制強化と捉えるのではなく、資産形成のグローバル化に伴う「情報の透明化」という世界の大きな流れの一つとして、この動きを注視していく必要があると考えています。
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