不登校は「避難」ではなく「選択」へ。子どもがルールも学びも決める「デモクラティックスクール」の可能性

「学校に行きたくない」という言葉を、単なる拒絶ではなく、自立への第一歩として捉える場所があります。2019年11月26日現在、日本国内で静かな注目を集めているのが「デモクラティックスクール」です。ここは、大人が決めた時間割やテストが存在しない、子どもたちの主体性を究極まで尊重する新しい学びの場として、全国各地にその輪を広げています。

デモクラティックスクールとは、1968年にアメリカで誕生した「サドベリーバレースクール」の理念を基にした教育施設を指します。日本では1997年に兵庫県で誕生した「まっくろくろすけ」を皮切りに、現在は東京から宮崎まで全国10校が点在しています。SNS上では「子どもが自分で人生を選べる環境が羨ましい」といった、画一的な教育に疑問を持つ層からの期待の声が目立ちます。

このスクールの最大の特徴は、徹底した「民主主義」にあります。一般的なフリースクールが不登校児の支援に重点を置くのに対し、ここでは運営方針から日々の過ごし方、さらにはトラブルの解決に至るまで、子どもとスタッフが対等な一票を持って話し合いで決定します。まさに、小さな社会を自分たちの手で作り上げていると言えるでしょう。

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教科書のない日常から育まれる「本物の生きる力」

ここでは、いわゆる「授業」は行われません。読み書きや計算といった知識は、日々の活動や遊びの中で必要に迫られた時に自然と習得されていきます。専門的な知識が欲しければ、外部の教室に通うことも自由です。スタッフは「教える人」ではなく、子どもの活動をサポートする「対等なパートナー」として存在しています。

例えば、あるメンバーは哲学や天文学に没頭し、またあるメンバーは自分の意見を主張する大切さを学びます。学校に籍を置きながらここへ通う16歳の若者は、「発言しなければ望まない結論が出てしまうから、自然と意見を言うようになった」と語ります。これは、マニュアル通りの教育では決して得られない、社会を生き抜くための本質的なスキルに他なりません。

こうした教育方針に対し、学力不足を懸念する声があるのも事実です。しかし、卒業生たちの進路は大学進学から起業、芸術家まで多岐にわたります。私自身、現代社会において最も必要なのは「正解を覚える力」ではなく、自ら問いを立て、周囲と合意を形成していく力だと確信しています。彼らの姿は、教育の真の目的を私たちに問いかけているようです。

2019年10月下旬に兵庫県で行われた話し合いの場でも、子どもたちは真剣に議論を重ねていました。文部科学省も多様な教育の重要性は認めており、地元の小中学校に籍を置くことで義務教育の卒業資格も確保されます。「学校に行かない」ことが「学ばない」ことではない。デモクラティックスクールは、そんな新しい教育の当たり前を提示しているのです。

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