2019年11月14日、厚生労働省が打ち出した年金改革案が大きな注目を集めています。今回の改革において、政府は「年金を支える側の層を厚くすること」を最優先課題として掲げました。少子高齢化が加速する日本において、いかにして制度を維持し、現役世代の負担を抑えるかが問われているのです。
SNS上では「いつまで働けば安心できるのか」「結局、もらえる額は減る一方ではないか」といった不安の声が数多く見受けられます。現役世代からは切実な悲鳴が上がり、受給世代からは生活への影響を危惧する意見が飛び交うなど、世代間の意識の乖離が浮き彫りになっているのが現状でしょう。
改革の3本柱と「マクロ経済スライド」の正体
厚労省は、主に3つの施策を改革の柱として提示しました。1つ目は、働いて一定の収入がある高齢者の年金をカットする「在職老齢年金」の見直し、2つ目は受給開始時期を70歳以降に遅らせる選択制の導入、そして3つ目が厚生年金への加入要件を広げ、パートなどの短時間労働者も加入しやすくすることです。
しかし、これらの施策だけでは将来の給付水準を劇的に改善させるには不十分だと言わざるを得ません。ここで鍵となるのが「マクロ経済スライド」という仕組みです。これは現役世代の減少や平均余命の伸びに合わせて、年金の支給額を自動的に調整する制度のことで、いわば「給付の伸びを抑えるブレーキ」の役割を果たします。
政治的なハードルと将来世代への責任
このブレーキ機能を強化できれば制度の安定性は増しますが、それは受給額の抑制を意味するため、高齢者層からの強い反発が予想されます。過去を振り返れば、2004年に小泉純一郎政権が保険料引き上げを決めた際も、激しい批判を浴びて選挙に影響を及ぼしたという経緯がありました。
政治的な打撃を避けたい政府の思惑もあり、これまでマクロ経済スライドが実際に発動されたのはわずか2回にとどまっています。私は、目先の不満を恐れるあまりに抜本的な改革を先送りにすることは、結果として今の若者や将来の子供たちに重いツケを回す行為ではないかと強く感じてしまいます。
2019年11月14日現在、議論は依然として平行線を辿っていますが、真に求められているのは、全世代が納得できる公平な痛みの分かち合いでしょう。一部の層を優遇するのではなく、百年後を見据えた誠実な対話が行われない限り、国民の将来に対する不安が消え去ることはないはずです。
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