2019年10月、日本の百貨店業界に衝撃的な逆風が吹き荒れました。日本百貨店協会が発表した10月の売上データによると、既存店ベースで前年比17.0%減という大幅なマイナスを記録しています。前月の9月は増税前の駆け込み需要に沸き、2カ月連続でプラスを維持していましたが、10月1日からの消費税率引き上げによって状況は一変しました。この落ち込み幅は、8%へ増税された2014年4月の時よりも深刻なものとなっています。
今回の減収には、単なる増税の影響だけではなく、自然災害による物理的なダメージも重なりました。10月中旬に関東地方を直撃した台風19号の影響により、多くの店舗が臨時休業や営業時間の短縮を余儀なくされたのです。協会側は、この天候不順によるマイナス要因が全体の3〜4%ほど含まれていると分析しています。SNS上でも「楽しみにしていた買い物が中止になった」「増税直後に台風まで来るなんて」といった悲痛な声が目立ちました。
ジャンル別の内訳を詳しく見ていくと、特に高額商品の冷え込みが顕著であることが分かります。宝飾品や美術品、さらには日常の彩りである化粧品などの「雑貨」カテゴリーは2割近い減少を見せました。また、季節の変わり目であるはずの衣料品や家庭用品も2割減と、消費者の財布の紐が固く閉じられた様子が伺えます。生活必需品を除いた「贅沢品」や「嗜好品」への買い控えが、数字として残酷に表れた結果と言えるでしょう。
インバウンド消費の陰りと今後の展望
百貨店を支える大きな柱の一つである「免税売上高」も、前年同月比13.8%減の256億円と、2カ月ぶりにマイナスへ転じました。これは日韓関係の悪化に伴う韓国人観光客の激減に加え、米中貿易摩擦や円高の影響で中国人客の客足が遠のいたことが要因です。免税売上とは、外国人観光客が消費税を免除されて購入する金額のことですが、世界情勢の不安定さが日本の小売現場に影を落としている現実に、編集部としても危機感を覚えます。
一方で、わずかながら希望の光も見え隠れしています。8%のまま据え置かれる「軽減税率」の対象である食料品は、物産展などの催事が人気を博し、減少幅を5.0%に留めました。また、2019年11月に入ってからは、東京地区の売上減少幅が中間段階で5.9%まで改善するなど、緩やかな回復の兆しも見え始めています。ネット上では「キャッシュレス還元の恩恵を感じ始めた」という前向きな投稿も散見されるようになってきました。
今後の注目は、目前に迫った年末商戦へと移ります。協会側は「期待はしたいが、慎重に見守る必要がある」としており、消費マインドが本格的に復活するかは依然として不透明です。個人的な見解としては、増税と災害という二重苦を乗り越えるには、店舗ごとの独自の体験価値や魅力的な提案がこれまで以上に重要になると感じています。この2019年10月の苦境を教訓に、各百貨店がどのような逆転劇を見せるのか、目が離せません。
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