中東情勢がかつてない緊迫感を迎えています。アメリカのトランプ政権がイラン革命防衛隊のソレイマニ司令官を殺害したことで、両国の報復の応酬が懸念されているのです。この事態に最も強い危機感を抱いているのが欧州諸国に他なりません。地理的に中東と近接するヨーロッパは、紛争の火種が自国に飛び火することを恐れています。
SNS上でも「これ以上中東が泥沼化すれば、再び世界規模の混乱が起きるのではないか」「罪のない市民が犠牲になる連鎖を止めてほしい」といった、不安や平和を願う声が急増しています。事態を重く見たドイツのメルケル首相は、2020年1月11日にロシアを訪問し、プーチン大統領と緊迫する中東情勢について直接会談を行うことを決定しました。
揺らぐアメリカの存在感とロシアの思惑
今回の事件の背景には、単なる2国間の対立に留まらない複雑な国際政治のパワーバランスが潜んでいます。2020年1月5日にはイラク議会が駐留米軍の撤収を求める決議を可決しており、これまで中東の秩序を維持してきたアメリカの支配力に大きな陰りが見え始めました。この権力の空白を突くように、ロシアが調停者として影響力を強めようとしています。
親イランの立場をとるロシアは、2020年1月3日に行われた外相電話協議において、アメリカの殺害行為は国際法違反であると強く非難しました。私は、アメリカの一方的な軍事行動が結果として地域のパワーバランスを崩し、中東をさらに混迷させる引き金になったと感じてやみません。対話の窓口を閉ざすべきではないでしょう。
欧州が恐れる難民流入とテロの記憶
イギリスのジョンソン首相は2020年1月5日夜にソレイマニ司令官を脅威と認めつつも、報復は暴力の連鎖を生むだけだと警告しました。同日にはフランスのマクロン大統領やドイツのマース外相も相次いで自制を求めています。欧州がこれほどまでに神経質になるのは、過去にシリア内戦から100万人を超える難民が流入し、社会が大混乱した苦い経験があるからです。
さらに、主要都市が過激派組織「イスラム国」などのテロの標的になってきた恐怖も、彼らの脳裏に深く刻まれています。トランプ政権がイランの核開発を制限する「核合意」から一方的に離脱した際も欧州は反発していました。全当事者が最大限の自制を保ち、武力ではなく外交努力による緊張緩和の道を模索することを切に願います。
コメント