タイの政治史を大きく揺るがした、あのタクシン元首相とインラック元首相の兄妹が、世界のビジネスシーンに驚きの姿を現しました。アメリカで2020年1月上旬に開催された世界最大級のデジタル技術見本市「CES」に両氏が揃って登場し、大きな注目を集めています。彼らが新たに投資先として選んだのは、最先端のヘルスケア技術を持つイギリスのスタートアップ企業でした。かつて一国のリーダーを務めた二人が、国境を越えて次世代のテクノロジーに未来を託したというニュースは、多くの人々に衝撃を与えています。
投資の対象となったのは、2016年に設立された「DNAナッジ社」という気鋭の企業です。彼らが手掛けるのは、人間の設計図とも言われる遺伝子の情報を解析し、個人の体質に合わせた最適な食習慣を提案するサービスになります。このように、個人の医療データや遺伝子情報に基づいて最適な治療や健康管理を行う手法は「パーソナライズド・ヘルスケア」と呼ばれ、近年世界中で関心が高まっている分野です。同社は、手首に装着して日常的に使用できるウェアラブル端末を開発し、すでに大きな話題を呼んでいます。
この画期的な端末は、ウェブサイトにて120ポンド(約1万7000円)で販売されており、2019年にはロンドン市内に記念すべき第1号店をオープンさせました。インラック氏は自身のSNSに「食習慣の改善は将来の健康に大いに役立ちます」と投稿し、この技術への強い期待感を露わにしています。ネット上でも「元首相たちがまさか最先端の遺伝子ビジネスに参入するとは」「この端末で自分の体に合う食材が分かるなら使ってみたい」など、驚きと興味の入り混じった声が数多く寄せられました。
タクシン氏はもともと、通信会社などの経営で莫大な財を成した凄腕の実業家であり、2001年に首相に就任しました。しかし、2006年の米国滞在中に軍事クーデターが発生し、それ以降は海外での生活を余儀なくされています。妹のインラック氏も2011年にタイ初の女性首相となりましたが、2014年のクーデターに直面し、2017年に国外へ逃れました。政治の表舞台から離れた現在も、彼らのビジネスへの鋭い嗅覚と圧倒的な影響力は、決して衰えていないと言えるでしょう。
未来の健康への投資と元首相たちの先見の明
今回の出資劇は、単なる元政治家による資産運用を超えた、深い意味を持っていると感じられます。政治的な激動を経て国外での生活を送りながらも、常に世界の最先端トレンドに目を光らせている二人のバイタリティには、率直に感銘を受けざるを得ません。特に、急速な高齢化や健康志向の高まりを背景に、遺伝子レベルで健康を管理する市場は今後さらなる拡大が見込まれます。実業家としての確かな審美眼が、この分野のポテンシャルの高さを証明しているのではないでしょうか。
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