近年、「人と地球にやさしい製品」というキャッチフレーズを広告で目にすることが増えていますが、これはユニバーサルデザイン(UD)とエコデザインという二つの重要なデザイン哲学が融合した製品が目指されている証拠だと言えるでしょう。ユニバーサルデザインとは、文化や言語、性別、年齢、身体能力などにかかわらず、誰もが利用しやすい製品や環境を設計する考え方を指します。一方、エコデザインとは、製品の生産から廃棄に至るライフサイクル全体で、環境保全と経済性に配慮したデザインおよび技術を意味します。
エコデザインは、米カリフォルニア大学建築学科名誉教授のシム・ヴァンダーリン氏らによって提唱されました。ヴァンダーリン氏は、エコデザインを実現するための五つの原則を提示しています。特に注目すべきは、「専門家だけでなく、そこに住む人が自分達のニーズにあった解決策を創り出す」という原則です。これは、ユーザー中心の設計を目指すユニバーサルデザインの方向性とも非常に親和性が高いと言えるでしょう。この共通の基軸を持つことで、ユニバーサルデザインの七原則とエコデザインの五原則を組み合わせた、より環境に優しく、社会的な付加価値の高い製品やサービスが各所で実現されることが期待されています。
この二つのデザインを掛け合わせることは、ユニバーサルデザインが抱えがちだとされる採算性という課題を補完する効果も見込めます。環境負荷を低減し、部品点数を削減するといったエコデザインの視点は、結果的に生産コストやメンテナンスコストの低減につながり、デザインの社会的な価値を高めながら、経済的な持続可能性をもたらすからです。まさに、提供側と享受側の双方に利がある状態を作り出すことが、ユニバーサルデザインの価値を一層高める鍵となると考えられます。
💡実践例から見るUDとエコデザインの相乗効果
たとえば、東京都市大学准教授である西山敏樹氏が試作開発に参加された電動フルフラットバスの事例は、この融合の可能性を具体的に示しています。従来の路線バスは、エンジンの配置の関係で車体後部に段差が生じやすく、また排ガスによる環境負荷も課題でした。これに対し、試作された電動フルフラットバスは、電池を床下に配置し、車輪にモーターを内蔵する8輪インホイールモーター方式を採用しています。この技術的な工夫により、車内の段差を完全に解消し、誰もが乗りやすいUDと、環境負荷の低いエコデザインを同時に実現しているのです。
既存のエンジン方式のバスと比較して、この電動フルフラットバスは部品点数が約3分の1程度に減少し、必要なエネルギーや整備にかかるコストも大幅に削減できる見込みです。さらに、車両の構造がシンプルになることで、運転手や整備士の負担軽減にもつながります。これは、単にユーザーの利便性を高めるだけでなく、サービスの提供側の課題である「運転手の高齢化」などにも対応するものであり、まさに「ユーザーとともに運転手や整備士の負担も軽減できる」という社会全体の持続可能性に貢献する視点が盛り込まれていると言えるでしょう。
こうした設計思想が、設計者だけでなく、**「ユーザーとともに」**という視点で社会に浸透していくことは、今後ますます重要になると私は考えます。TwitterなどSNS上でも、「誰もが使える」というUDの考え方と、「持続可能な社会」というエコの考え方が組み合わさることで、「デザインはもっと社会を変えられる」といった共感の声が多く見受けられます。2019年6月28日時点のこの記事で紹介されているような、これらのデザイン哲学の融合は、私たちの社会をより優しく、そしてサステナブルな方向へと導く、まさに未来志向の製品開発の姿だと言えるでしょう。
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