北海道北斗市の公式キャラクター「ずーしーほっきー」をご存じでしょうか。白い体と、どこかミステリアスな表情が醸し出す「キモかわ(気持ち悪いけれど可愛い)」な雰囲気は、SNSを中心に全国的な注目を集めています。実はこのキャラクターのモデルは、同市上磯地区で水揚げされる「ホッキ貝(北寄貝)」の握り寿司なのです。インパクト抜群の見た目とは裏腹に、その正体は地元の人々に深く愛されている、海の幸の王様と言っても過言ではありません。
一般的にホッキ貝の名で親しまれていますが、正式名称は「ウバ貝」と呼びます。北海道や東北地方を代表する二枚貝であり、特に函館湾に位置する北斗市は、日本でも指折りの漁場として有名です。このエリアで獲れるホッキ貝は、驚くほど大ぶりで身が厚く、噛みしめるたびに口いっぱいに広がる濃厚な甘みが特徴となります。SNSでは「一度食べたら他の貝には戻れない」といった熱狂的なファンの声も多く、まさに道南が誇る至宝と言えるでしょう。
五感で楽しむ!産地ならではの贅沢な味わい方
上磯郡漁業協同組合は、この素晴らしいホッキ貝を観光の目玉にするため、2015年に「貝鮮焼北斗フィッシャリー」をオープンさせました。ここでは獲れたてのホッキ貝やカキ、ホタテなどを豪快な蒸し焼きで堪能できます。焼きたてのホッキ貝は、プリッとした力強い弾力があり、滴る貝汁の香ばしさは格別です。また、自分で貝を獲る「突き採り体験」などのイベントも開催されており、家族連れや観光客にとって最高の思い出作りになるに違いありません。
地元の名店「華隆」が手がける「ホッキしゅうまい」も、絶対に見逃せない逸品です。百貨店の北海道物産展でも行列ができるほどの人気を誇り、現在はネット通販でも入手可能となっています。代表の新関隆さんによれば、タレをつけずともホッキ由来の濃厚な旨味が際立つよう、贅沢に身を使用しているそうです。肉厚でジューシーなその食感は、まさに「貝の王様」と呼ぶにふさわしい風格を漂わせており、贈答用としても喜ばれること間違いなしでしょう。
伝統の漁法と徹底した資源管理が守る極上の品質
上磯地区のホッキ漁は、毎年6月に幕を開けます。水深5〜6メートルほどの浅瀬では、長い棒の先に爪がついた「ヤス」という道具を使って、一つひとつ丁寧に「突き採り」が行われます。この伝統的な漁法は、環境への負荷を抑え、乱獲を防ぐメリットがあるのです。一方、深い海域では「噴流式けた曳き網(ふんりゅうしきけたひきあみ)」という、水の勢いを利用して砂を掘り起こし、効率よく貝を採取するダイナミックな漁法が採用されています。
資源を守るためのルールも非常に厳格です。北海道全体の規則では殻の大きさが7.5センチメートル以上とされていますが、上磯郡漁協では、なんと9センチメートル以上という独自の厳しい基準を設けています。これにより、大きく育った高品質な貝だけが市場に並ぶことになるのです。山々から川を通じて流れ込む豊富な栄養分が、加熱しても縮みにくい、甘みたっぷりの身を育みます。このように手間暇を惜しまず育てられた貝だからこそ、最高級の評価を得ているのです。
カレーやピザにも!?無限に広がるホッキ貝の可能性
ホッキ貝の魅力は、和食だけにとどまりません。地元の喫茶店「ポパイ&オリーブ」では、ホッキ貝を具材にしたカレーやピザが、老若男女を問わず大人気を博しています。意外な組み合わせに驚くかもしれませんが、ホッキ貝の強い旨味はスパイシーなルーや濃厚なチーズとも相性抜群なのです。私個人としても、素材の味を活かしたシンプルな刺身も良いですが、こうした洋風アレンジにこそ、この貝の秘めたポテンシャルが最大限に発揮されると感じています。
現在はライバルでもある苫小牧市とも切磋琢磨しながら、北海道を代表するブランドとしての地位を確立しています。北の大地が育んだこの豊かな味覚は、これからさらに関東以西など全国各地へとその名を轟かせていくことでしょう。2019年08月03日現在、函館湾のホッキ貝はまさに旬の盛りを迎えています。皆さんもぜひ、現地を訪れて、あるいは取り寄せをして、この「海の王様」が奏でる極上のハーモニーを心ゆくまで堪能してみてはいかがでしょうか。
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