埼玉県飯能市の武蔵丘ゴルフコースで開催されている「樋口久子・三菱電機レディス」は、2019年11月03日に運命の最終日を迎えようとしています。今大会で一際まばゆい輝きを放っているのは、怪我による戦線離脱から戻ってきたばかりの鈴木愛選手です。彼女は初日からリーダーボードの最上段を譲ることなく、単独首位という最高のポジションで決勝ラウンドへと駒を進めました。
実は今回の復帰劇の裏には、壮絶な痛みの記憶が隠されています。左手首から親指にかけて広がった激痛により、彼女は約1ヶ月もの間、愛するクラブを握ることすら叶いませんでした。実戦感覚が懸念される復帰2戦目という状況下で、これほどの快進撃を見せると予想したファンは少なかったかもしれません。しかし、彼女は「余計な思考を排除する」という極めてシンプルな戦略で、見事にコースを攻略しています。
感性を封印した「魔法のパター」が導くバーディーラッシュ
今回の好調を支えているのは、驚異的な精度を誇るパッティングです。鈴木選手は自身の鋭すぎる感性がミスを誘発しないよう、あえて長年愛用してきたエースパターを封印しました。代わりに手にしたのは、ニトリレディスでも勝利を掴んだ「マレット型」のパターです。これはヘッドの後方が半円状に突き出した形状で、直進性が高く、ミスヒットに強いという特性を持っています。
この選択が功を奏し、2019年11月01日の初日には13番と17番で10メートルものロングパットを沈める快挙を成し遂げました。さらに翌日、最大のピンチが訪れた9番パー5でも、その集中力は途切れません。ティーショットをバンカーに入れ、脱出にも苦戦して3オンとなった場面で、6メートルのパーパットを執念でねじ込んだのです。思わず飛び出した力強いガッツポーズが、彼女の覚悟を物語っていました。
SNS上では、彼女の驚異的なリカバリーに対して「痛みに耐えて首位を守る姿に勇気をもらえる」「マレット型への変更がここまでハマるとは、さすがの勝負勘だ」といった称賛の声が相次いでいます。ゴルフファンの間では、怪我明けとは思えない彼女の集中力が、今大会の最大のトピックとして熱く語られているようです。
賞金女王戴冠への橋頭堡!申ジエとの最終組直接対決
現在、鈴木選手の賞金ランキングは4位に位置しており、トップを走る申ジエ選手とは約3800万円の差が開いています。しかし、彼女の瞳に絶望の色はありません。「逆転のチャンスはまだ残っている」と断言するその姿は、まさに女王の風格です。最終戦のリコーカップまで望みを繋ぐためにも、今大会で勝利という名の「橋頭堡(きょうとうほ)」、つまり反撃の拠点となる有利な足場を築くことが求められます。
編集者の視点から見れば、この状況はまさにドラマチックの一言に尽きます。満身創痍の状態で戻ってきたヒロインが、圧倒的な強さを誇るライバルを迎え撃つ構図は、スポーツの醍醐味が凝縮されていると言えるでしょう。2年ぶりの賞金女王奪還に向けた彼女の執念が、明日2019年11月03日の最終日、どのような結末を書き記すのか期待に胸が膨らみます。
最終組で申ジエ選手と直接対峙する時間は、今シーズンの行方を占う極めて重要な一戦となるでしょう。静寂に包まれるグリーンの上で、彼女の放つ一打が勝利の女神を微笑ませるのか、日本中のゴルフファンがその一瞬を固唾を飲んで見守っています。最後まで諦めないその精神が、奇跡の逆転劇を現実のものへと変えてくれるに違いありません。
コメント