2016年1月15日の未明、静寂に包まれた長野県軽井沢町の国道で、あまりにも痛ましい事故が発生しました。夢を追いかけていた若者たちを含む15名の尊い命が奪われたスキーバス転落事故は、当時の社会に大きな衝撃を与えたことを今も鮮明に記憶している方は多いでしょう。この悲劇を巡り、亡くなった19歳の男子大学生のご遺族が運行会社「イーエスピー」などを相手取った損害賠償請求訴訟で、2019年12月20日にさいたま地裁にて重要な判決が言い渡されました。
斎藤清文裁判長は、バス会社側に対して約8800万円の支払いを命じる決断を下しました。ご遺族側が求めていた約1億5千万円という請求額には届かなかったものの、企業の安全管理責任を厳格に問う形となっています。ネット上では「お金で命は戻らないが、二度とこうした杜撰な管理を許してはいけない」といった、判決を支持しつつも無念さを滲ませる声が数多く上がっています。利便性や価格の安さを追求する裏側で、安全が二の次にされていた現実に多くの人が憤りを感じているのです。
今回の裁判で焦点となったのは、運転手の「技量」と会社の「管理体制」です。そもそもバスを運転する際には、運転者の性格や運転の癖を客観的に把握するための「適性診断」を受けることが義務付けられています。この診断で、事故を起こした運転手には過去に問題があるとの指摘が出ていました。しかし、会社側はその重要な内容を把握せず、十分な習熟訓練も行わないまま、大型バスの運転という重責を任せていたのです。こうしたプロとしての自覚に欠ける姿勢が、最悪の結果を招いたと言わざるを得ません。
私自身の見解を述べさせていただくと、今回の判決は単なる金銭的な解決以上の意味を持っていると感じます。公共交通機関における「安全」は、決してコストカットの対象にしてはならない聖域です。未熟な技術で大型車両を操作することがどれほど危険な凶器になり得るか、そしてそれを監督する立場にある企業がどれほど重い責任を負っているのかを、改めて業界全体が肝に銘じるべきでしょう。一人の編集者として、このような悲劇が二度と繰り返されないよう、企業の倫理観を注視し続けたいと思います。
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