発酵学の第一人者として知られる小泉武夫氏が、2019年09月02日に佐賀県小城市を訪れました。講演の依頼を受けての訪問でしたが、同地へ足を運ぶのは実に20年ぶりとのことで、感慨もひとしおだったようです。かつて小城藩の城下町として栄華を極めたこの街には、今もなお江戸時代の情緒が色濃く漂っています。歴史を感じさせる美しい街並みを歩けば、まるで当時にタイムスリップしたかのような錯覚に陥るに違いありません。
この小城の地を語る上で欠かせないのが、全国にその名を轟かせている「小城ようかん」の存在です。なぜこの地で和菓子文化が花開いたのか、その理由は歴史的な地理条件に隠されています。江戸時代、貿易の窓口であった長崎と、黒田藩の拠点である福岡を結ぶ「長崎街道」は、海外から輸入された貴重な砂糖が運ばれる道でもありました。この街道は通称「シュガーロード」と呼ばれ、小城はその中心的な中継地点として繁栄を享受したのです。
SNS上では「小城の羊羹は外側のシャリシャリ感がたまらない」「歴史ある街並みを散策しながら食べる甘味は格別」といった絶賛の声が次々と上がっています。シュガーロードという言葉は、現代のスイーツファンにとっても非常に魅力的な響きを持って受け入れられているようです。単なるお土産品としてではなく、地域の歴史を象徴するアイコンとして羊羹が愛されている様子は、文化の継承がいかに大切であるかを物語っているのではないでしょうか。
個人的な見解を申し上げれば、食文化とは土地の歴史そのものであり、小城羊羹はその結晶だと言えます。砂糖が金と同等の価値を持っていた時代に、この地の人々がどれほどの情熱を持って菓子作りに励んだのかを想像すると、胸が熱くなります。利便性ばかりが追求される現代だからこそ、こうした伝統的な製法と情緒を守り続ける小城の姿勢は、私たちに心の豊かさを教えてくれます。ぜひ現地を訪れ、その深い味わいを体験していただきたいものです。
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