【訃報】金属工学の権威・増子昇氏が逝去。東京大学名誉教授として日本の材料科学を牽引した功績を辿る

日本の金属工学界において多大なる足跡を残された、東京大学名誉教授の増子昇(ますこ・のぼる)氏が、2019年09月23日に心不全のため84歳でこの世を去られました。葬儀および告別式は、故人の遺志を尊重し、ご親族のみでしめやかに執り行われたとのことです。喪主は妻の美保子さんが務められ、学問に捧げたその生涯を静かに見送られました。

増子氏は長年にわたり、物質の性質や構造を解明する「金属工学」の分野で最前線の研究を続けてこられました。この学問は、単に鉄や銅を扱うだけでなく、スマートフォンの部品から航空機の機体まで、現代社会を支えるあらゆる素材の基礎となる極めて重要な領域です。先生の研究は、日本の産業競争力を支える技術基盤の確立に大きく寄与したといえるでしょう。

特に東京大学生産技術研究所の所長という要職を務められた時期には、組織のリーダーとして若手研究者の育成や産学連携の強化に尽力されました。同研究所は、理論を実社会に応用する「生きた工学」を実践する場であり、増子氏の卓越した指導力があったからこそ、数多くの革新的なプロジェクトが結実したのです。その背中を見て育った教え子たちは、現在も多方面で活躍しています。

SNS上では、この突然の訃報に対し「学生時代に先生の講義に感銘を受けた」「日本の材料科学の一角が崩れたようで寂しい」といった、教え子や同業者からの惜別の声が相次いでいます。研究者としての厳格な一面と、教育者としての温かな眼差しを併せ持っていた増子氏の人徳が、ネット上の書き込みからも深く伝わってまいります。

一編集者の視点として、現代の便利な生活がこれほどまでに豊かなのは、増子氏のような先駆者が「物質の本質」を究め続けてくれたおかげであると強く感じます。高度経済成長期から現在に至るまで、日本のモノづくりが世界で信頼を勝ち得てきた背景には、こうした地道かつ壮大な基礎研究の積み重ねがあることを、私たちは忘れてはなりません。

2019年09月23日という一日は、科学技術の発展に寄与した偉大な巨星を失った日として記憶されることでしょう。増子昇氏が積み上げてきた研究成果やその高い志は、これからも次世代の研究者たちに引き継がれ、新しい時代の素材開発へと繋がっていくに違いありません。謹んで哀悼の意を表し、安らかな眠りをお祈りいたします。

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