【BiSH熱狂】なぜ「楽器を持たないパンクバンド」がロックファンの心を掴むのか?アメトーーク!から東京ドームへ加速するエモさの正体

今、日本の音楽シーンで最も熱い視線を浴びているのは、間違いなく「楽器を持たないパンクバンド」を掲げるBiSHでしょう。2019年10月21日付のビルボード・ジャパン総合アルバムチャートでは、2016年1月20日に発売された過去作が5位にランクインしました。驚くべきことに、旧譜の全アルバムがトップ10に返り咲くという異例の現象が起きています。

この爆発的な勢いのきっかけとなったのは、2019年10月10日にテレビ朝日系で放送された「アメトーーク!」の「BiSHドハマり芸人」企画です。放送直後のSNSでは「BiSHって何者?」「曲が良すぎて衝撃を受けた」といった声が溢れ返りました。翌11日にはアルバムの1日限定300円配信という破竹の攻勢を仕掛け、新規ファンを一気に取り込むことに成功したのです。

勢いは止まらず、2019年10月25日には「ミュージックステーション」に出演し、最新シングル「KiND PEOPLE」と代表曲を熱唱しました。ここで彼女たちが放った圧倒的なエネルギーは、お茶の間に強烈なインパクトを残したはずです。横浜アリーナや大阪城ホールを即完させる実力を持つ彼女たちが、ついに国民的な知名度を獲得するフェーズに突入したと言えます。

スポンサーリンク

魂を揺さぶる「松隈サウンド」と二面性の美学

BiSHの最大の武器は、サウンドプロデューサーの松隈ケンタ氏が生み出す、胸を締め付けるようなメロディラインにあります。ストリングス(バイオリンなどの弦楽器)が美しく響く「オーケストラ」のような壮大な楽曲がある一方で、耳を突き刺すようなノイズが心地よい激しいパンクナンバーも存在します。この極端な二面性が、聴く者の感情を激しく揺さぶるのです。

メディア編集者としての私の視点では、彼女たちの魅力は単なる「楽曲の良さ」に留まらないと感じます。それは、予定調和を嫌うゲリラ的なプロモーションや、過激な歌詞に裏打ちされた「パンク精神」そのものです。既存のアイドルの枠組みを壊し続ける姿勢こそが、10代や20代を中心とした若いロックファンの心を掴んで離さない理由ではないでしょうか。

実際に、2019年の夏も大型野外フェスで数万人を前に圧巻のステージを披露しました。アイドルに興味がなかった層が、彼女たちの「泥臭くも一生懸命な姿」を見て涙を流す光景は、もはや珍しくありません。客席に女性ファンが急増しているのも、彼女たちが放つ「自分らしく生きる」というメッセージに多くの若者が共感している証拠だと言えるでしょう。

コンプレックスを武器に変える「エモい」表現力

彼女たち6人の素顔は、意外にも内気でコンプレックスを抱えた少女たちです。キラキラした正統派アイドルへの憧れと、そこになれない自分たち。その葛藤から生まれる感情を、若者言葉でいう「エモい(感情が揺さぶられる)」という言葉で片付けるには惜しいほどの熱量で表現しています。メンバー自らが綴る言葉には、虚飾のないリアルな痛みが宿っています。

最近では個人の才能も開花しており、アイナ・ジ・エンドさんは独創的な振り付けでグループの象徴となりました。セントチヒロ・チッチさんはイベント制作、アユニ・Dさんはバンド活動、モモコグミカンパニーさんは執筆活動と、多才な個性が輝いています。単なる「歌い手」ではなく、自らの手で表現を切り拓くアーティストへと進化を遂げているのが現在の姿です。

結成当初から掲げてきた「東京ドームでのライブ」という大きな目標。かつては無謀な夢に聞こえたかもしれませんが、2019年11月6日に控えたニューシングルの発売を前にした今の彼女たちなら、そのステージに立つ姿がはっきりと目に浮かびます。彼女たちが音楽界の主役に躍り出る日は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました