つながる心が地域を豊かに!相模原・藤野で広がる地域通貨「よろづ屋」が10周年を迎える理由

神奈川県相模原市緑区の藤野地区(旧藤野町)にて、人と人との温かい結びつきを支えるユニークな取り組みが大きな注目を集めています。2010年4月に誕生した地域通貨「よろづ屋」が、間もなく活動開始から10年の節目を迎えようとしています。かつて全国でブームとなった地域通貨の多くが姿を消すなかで、この山間地域のコミュニティには見事に定着しました。現在は約600人もの人々が参加し、日々の生活のなかで手軽に活用されているそうです。

SNS上でもこの取り組みに対して、「買い物の枠を超えた助け合いの形が素敵」「こんな温かいコミュニティに自分も参加してみたい」といった感動や称賛の声が数多く寄せられています。単なるお金の代わりではなく、住民同士の信頼関係を深めるための素晴らしい道具として機能していることが、現代のネット社会を生きる人々の心にも深く響いているのでしょう。誰かの「困った」をみんなの「得意」で解決する循環が、ここでは当たり前のように行われています。

この「よろづ屋」が採用しているのは、「LETS(Local Exchange Trading System)」と呼ばれる地域交換取引制度の仕組みです。これは、特定の地域内だけで価値が循環する独自の経済圏を作るための画期的なシステムを指します。一般的な地域通貨のように独自の紙幣やコインを製造することはしません。代わりに、参加者がそれぞれ「紙の通帳」を持ち、会員同士で直接取引を行うスタイルが最大の特徴となっています。

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マイナス残高は地域への貢献?通帳でつながる新しい経済のカタチ

利用を希望する人は、まず丁寧な説明会に参加して入会金1000円を支払います。取引の単位は1円相当の価値を持つ「萬(よろづ)」と呼ばれ、全員が「ゼロ萬」の状態からスタートする決まりです。専用のメーリングリストでは、「使わなくなった家具を譲りたい」「駅まで車で送ってほしい」といった日常のSOSや提案が活発に飛び交っており、事務局による仲介がなくても一対一の自由なやり取りが成立しています。

例えば、不要な品物を1000萬で相手に譲った場合、自分の通帳にはプラス1000萬、相手の通帳にはマイナス1000萬と書き込みます。全員の残高を合計すると必ずゼロになるのが、このLETSの面白いルールです。発案者である建築家の池辺潤一氏は、「取引がたくさん生まれるほど、地域の中に新たな価値が創り出される」と語ります。損得勘定を抜きにしたコミュニケーションこそが、この通貨の本質なのです。

入会時に「マイナスが増えても大丈夫」と説明されて驚く人も少なくありません。しかし池辺氏によれば、マイナスの状態は「周囲の人の優しさや特技をたくさん引き出した証」なのだそうです。お互いの良さを生かし合うことで社会を豊かにするという考え方は、非常に優しく先進的だと感じます。資本主義の競争に疲れた現代において、こうした「優しさの貸し借り」を可視化する試みは、私たちが目指すべき未来のヒントになるはずです。

かつて誕生した地域通貨の多くは、紙幣の印刷代や管理コストを賄えずに挫折していきました。一方で「よろづ屋」が10年も継続できたのは、通帳代くらいしか費用がかからない圧倒的な手軽さのおかげです。最近ではスマートフォンのアプリを使った電子通貨も増えていますが、目の前で通帳に手書きする温もりこそが、信頼感を育む最高の秘訣なのでしょう。この素敵な助け合いの輪が、これからさらに広がっていくことを心から応援しています。

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