2020年1月25日、半導体業界において独自の存在感を放ち続けてきたロームが、大きな転換期を迎えています。創業者の佐藤研一郎氏がこの世を去り、同社はまさに「ポスト佐藤」という新たな時代の舵取りを迫られているのです。かつてパナソニックをはじめとする国内の家電大手から「カスタムIC」の製造を請け負い、驚異的な高収益を叩き出していた栄光の時代から一転、現在のロームは次なる成長の柱を懸命に模索しています。
皆さんは、半導体と聞くとどのようなイメージを持つでしょうか。一般的にメモリーなどの規格品が主流の業界ですが、ロームは一線を画し、顧客の要望に応える特注のカスタムICという独自のビジネスモデルを確立しました。この専門知識を要する領域で顧客の信頼を勝ち取り、2001年3月期には連結営業利益1377億円、売上高営業利益率は実に34%という驚異的な数値を達成したのです。まさに、日本製造業の黄金期を支えた企業のひとつと言えるでしょう。
「品質第一」を武器に自動車産業という未知の領域へ
国内家電市場がかつての勢いを失う中、ロームが進めるのは自動車や産業機器へのシフトです。特に2018年6月に就任した藤原忠信社長は、中国の電気自動車(EV)関連企業へトップ自らが足を運び、猛烈な営業攻勢をかけています。彼らが照準を定めているのは、次世代車の中核を担う「パワー半導体」や「アナログ半導体」です。これらは電気を効率よく制御したり、自然界の信号をデジタルに変換したりする役割を持つ、いわば電気自動車の心臓部とも言える部品ですね。
なぜロームが、この激しい競争環境で戦えるのでしょうか。その答えは、創業者の佐藤氏が執念とも言えるほどにこだわった「品質第一」という精神にあります。EVという過酷な環境では、民生品以上の絶対的な安全性が求められます。ロームの技術は、省エネ性能と高い信頼性が不可欠な自動車業界において、まさに理想的なソリューションとして熱い注目を集めているのです。SNS上でも「ロームの品質に対する妥協なき姿勢こそが、EV時代の勝ち筋になる」といった期待の声が多く見受けられます。
高収益企業への復活を目指す「脱・家電」の行方
現在、ロームは車載や産業機器向けの売上高比率を全体の5割以上にまで引き上げる計画を進めています。かつての家電依存体質からの脱却は、まさに企業の生き残りをかけた戦いです。しかし、藤原社長は現状に対して「利益率がまだ低い」と厳しい見方を崩していません。これには、私自身も非常に共感を覚えます。自動車産業への参入は非常にハードルが高く、初期投資や開発コストがかさむ一方で、収益性を安定させるには時間がかかるからです。
それでも、ロームが歩んできた道は、決して無駄にはなっていないと確信しています。創業者の精神を核に据えつつ、急速に進化するモビリティ社会に適応していくという戦略は、多くの日本企業にとってのロールモデルになり得るはずです。かつての高収益体質を取り戻せるかどうか、その鍵は「品質」というDNAをいかに次世代の車載・産業機器市場で収益へと変えていけるかにかかっています。今後のロームの飛躍に、これからも注目していきたいですね。
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