2019年6月2日投開票の青森県知事選挙で、現職の三村申吾氏が見事な勝利を収め、県政史上初となる5期目の当選を果たしました。三村氏は30万票を超える支持を獲得し、その手腕に対する県民の期待の大きさが伺えます。しかしながら、今回の選挙の投票率は40.08パーセントと過去2番目の低さに留まり、県民の関心の高まりに繋がらなかったという課題も残されました。この結果は、有権者の間に存在する、地方が抱える根深い問題への諦念のようなものを示しているのかもしれません。
三村知事の5期目における最大の重要課題は、やはり**「人口減少」への対応です。当選直後の記者会見で知事ご自身も「人口減少対策は総合戦略になる」と述べ、この難題に真摯に向き合う姿勢を見せました。特に「経済を回していく」ことが重要であると強調されており、それは容易なことではないと認めつつも、「丁寧に取り組んでいきたい」と、長期政権ならではの粘り強い政策実行への意欲を示しています。
青森県の人口は、2018年時点で約126万人となっていますが、ピークであった1983年から約27万人も減少しています。三村知事が最初に当選した翌年の2004年以降、この減少ペースは加速し、毎年9千人から1万5千人規模で人口が失われている状況です。この流れを完全に止めることは難しくても、いかに減少速度を緩やかにし、そして人口が少なくても機能し続けることができる地域社会、つまり「持続可能な地域」を創り上げられるかが、今後問われていくことでしょう。
人口減少という逆風が吹く中で、青森県の経済規模を示す重要な指標である「県内総生産(GDP)」の動向には注目が集まっています。直近のデータを見ると、最も少なかった2008年度の約4兆2600億円から、2015年度には約4兆4700億円へと増加していることが分かります。さらに、生産を支える就業者1人当たりの県内総生産も、2008年度の627万円から2015年度には683万円まで上昇しているのです。これは、たとえ働く人の数が減ってしまっても、労働生産性(従業員一人あたりが生み出す成果のこと)を向上させることで、県全体の経済規模を維持することが可能であることを示唆しています。
労働生産性の向上が「帰ってこられる青森」の鍵を握る
この労働生産性のさらなる向上こそが、未来の青森を作る鍵となります。青森地域社会研究所の竹内紀人常務理事は、情報技術を活用した省力化投資や、新しい分野への投資を県が積極的に支援することが極めて重要であると指摘しています。特に、青森県においては、製造業以外、例えばサービス業などが該当する「非製造業」の生産性向上は避けて通れない課題だと言えるでしょう。
また、雇用を創出するための企業誘致**や、青森の基幹産業である農林水産業の基盤を確固たるものにすることも欠かせません。竹内氏は、労働生産性が上がれば、その果実としての「分配」、すなわち給与も増加すると説いています。物価水準も考慮に入れた「実質的な給与水準」を東京に近いレベルまで引き上げなければ、若者が故郷に戻って定着できる「帰ってこられる青森」の実現は難しいと警鐘を鳴らしています。私も、この指摘は全くその通りだと思います。豊かな自然や食文化だけでは、生活の基盤となる経済的な安定には繋がりません。若者が安心して働き、家庭を持てるだけの高水準な賃金が確保されてこそ、真の意味での活力ある地域が生まれるはずです。
三村知事の5期目という長期政権には、これまで以上に具体的な施策を通じて、県民の期待に応えていく責任があります。特に、今回の選挙結果が示唆する、県民の根深い不安や低投票率という課題を真摯に受け止め、「人口減少対策」と「経済の活性化」を両輪で進めていくリーダーシップが強く求められるでしょう。SNS上では「低投票率なのに5選はすごい」という驚きの声や、「具体的な人口減少対策が見たい」という切実な願いも見受けられ、県政への関心が薄れているわけではないことが分かります。これらの声に応え、「丁寧な取り組み」を「確かな成果」へと結びつけることができるか、三村県政の5期目が始まります。
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