新潟県妙高市の名湯・赤倉温泉に、新しい風が吹き抜けています。2016年に開湯200周年という記念すべき節目を迎えたこの歴史ある温泉街で、ひときわ存在感を放つ「ホテル太閤」が、2019年7月27日現在、これまでにない大胆な変革を遂げ注目を集めているのです。スキー客の減少という課題に直面する中、同ホテルが打ち出したのは「ペットとの絆」と「ベテランの知恵」を軸にした、非常に温かみのある経営戦略でした。
今回、大きな注目を浴びているのが、築35年を経て老朽化が進んでいた「南館」の全面的なリニューアルです。これまで冬季以外の稼働率が20%を下回ることも多かったこの別棟を、なんとペットと一緒に宿泊できる専用客室へと生まれ変わらせました。全8室の専用ルームにはケージも完備されており、愛犬家にとってはまさに夢のような空間が広がっています。こうした取り組みは、全国的にも珍しい試みとして大きな話題を呼んでいます。
源泉かけ流しの贅沢を愛犬と共に楽しむ
このリニューアルで最も驚かされるのは、1階に設けられたペット専用の洗い場です。ここでは、妙高の豊かな自然が育んだ「源泉かけ流し」の温泉を、贅沢にもペットと一緒に楽しむことができます。源泉かけ流しとは、湧き出したばかりの新鮮な温泉をそのまま浴槽に流し込み、循環させずに贅沢に使い続ける状態を指します。人間と同じように、大切な家族であるペットにも最高のリフレッシュを体験させてあげたいという、ホテルの深い愛情が感じられますね。
このプロジェクトは、地域の特性を活かした事業を支援する「地域未来投資促進法」という国の制度を活用して実現しました。これは地域の経済を活性化させるための投資を後押しする仕組みですが、2019年4月の営業開始以来、その効果は目に見えて現れています。週末を中心に、4月から6月までの稼働率は驚異の60%から70%にまで跳ね上がりました。さらに、7月も同様に高い水準を維持しており、低迷していた時期を脱したと言えるでしょう。
シニア世代の熟練した接客が心をつかむ
ホテル太閤の魅力は、ハード面だけにとどまりません。宇津泰生社長が何よりも大切にしているのが、従業員の半数以上を占める50代以上のシニアスタッフの存在です。若いスタッフのスピード感も大切ですが、シニア世代の「人が見ていないところでも手を抜かない丁寧な仕事」こそが、お客様の満足度を左右すると確信しているのです。富裕層やシニア層の宿泊客が増える中、同年代ならではの細やかな気配りが、再訪を促す鍵となっています。
こうした熟練の技を次世代へ引き継ぐため、同ホテルではシニア層が新入社員の教育を積極的に担当する体制を整えています。また、定年を65歳から70歳へと引き上げるなど、長く安心して働ける環境作りにも余念がありません。単なる人手不足の解消ではなく、豊かな経験を持つ「人生の先輩」たちの価値を再定義し、接客の質を極限まで高めようとする姿勢は、今の時代のサービス業が見習うべき素晴らしいモデルケースではないでしょうか。
SNSでの反響と編集部の視点
インターネット上のSNSでは、「大型犬と一緒に本格的な温泉に行けるなんて最高!」「スタッフの方がとても親切で、実家に帰ったような安心感があった」といった喜びの声が続々と上がっています。特にペット同宿を歓迎しつつも、専用の出入り口を設けて一般客との動線を分ける「すみ分け」を徹底している点についても、双方の客層から「配慮が行き届いている」と高く評価されているようです。誰もが心地よく過ごせる工夫が随所に光ります。
編集部としては、このホテル太閤の取り組みに強い感銘を受けました。単なる施設の改修だけでなく、シニアの雇用という社会的な価値と、ペット需要という現代のニーズを絶妙に融合させているからです。2019年7月27日現在の状況を鑑みると、宿泊単価が以前より4000円近く上昇しているという結果は、お客様がその「真心」に対して正当な対価を支払っている証拠と言えます。今後、赤倉温泉全体を牽引する存在として、さらに輝きを増していくことでしょう。
コメント