2019年07月31日、出版業界の動向を調査する出版科学研究所より、2019年1月から6月までの出版市場に関する統計データが公開されました。この半年間における紙と電子を合わせた出版物の推定販売金額は7743億円となり、前年の同時期と比較して1.1%の微減を記録しています。出版業界全体で市場の縮小傾向が続いている事実は、多くの本好きにとって見過ごせないニュースといえるでしょう。
近年、私たちの読書スタイルを大きく変えたのが「電子出版」の存在です。スマートフォンやタブレットで手軽に読める電子書籍の市場は、今期も着実にそのシェアを広げ続けています。しかし、利便性の高い電子メディアが成長を見せる一方で、古くから親しまれてきた紙の書籍や雑誌の売上減少を完全に補うまでには至っていないのが現状です。出版市場全体のバランスが、今まさに大きな転換期を迎えていることが伺えますね。
SNS上では、この発表を受けて「紙の本ならではの手触りや装丁を大切にしたい」という根強いファンからの声が上がる一方、「場所を取らない電子書籍から離れられない」という利便性を支持する意見も目立っています。中には、雑誌の休刊が相次ぐ現状を嘆く投稿も見受けられ、読者のライフスタイルの変化が如実に現れている印象を受けます。こうしたリアルな読者の反応こそが、現代の出版市場を形作る重要な要素となっているのでしょう。
ここで改めて「出版市場統計」という言葉について解説しましょう。これは、書店やコンビニエンスストアでの販売状況に加え、電子ストアでの購入データなどを総合的に分析し、日本国内でどれだけの本が流通・消費されたかを数値化したものです。この統計を分析することで、私たちがどのような媒体で知識やエンターテインメントを得ているのか、社会のトレンドを客観的に把握することが可能になります。
編集者としての私の視点では、単なる市場の縮小を悲観するのではなく、コンテンツの届け方が多様化した結果だと捉えています。紙には紙の、電子には電子の良さがあり、読者がその時の気分や環境に合わせて自由に選択できる時代になったのではないでしょうか。今後は、物質的な価値を持つ豪華な装丁本と、圧倒的な情報量を誇るサブスクリプション型の電子サービスという、二極化が進んでいくのではないかと推測されます。
本という存在は、いつの時代も私たちに新しい世界を見せてくれる大切なパートナーです。紙の雑誌が苦戦を強いられている状況は寂しいものですが、電子メディアの躍進は新しいクリエイターが世に出るチャンスを広げている側面も見逃せません。2019年の下半期に向けて、業界全体がどのような革新的な試みを打ち出し、読者の心を掴んでいくのか。これからも出版界の動向から目が離せそうにありません。
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