外交の舞台に、大きな転換点が訪れようとしています。外務省は2019年08月08日、日本と中国の両政府が外交当局のハイレベルによる「日中戦略対話」を、2019年08月10日に長野県軽井沢町で実施すると公式に発表しました。今回の対話には、日本の秋葉剛男外務次官と中国の楽玉成外務次官が出席し、じっくりと腰を据えた議論が行われる見通しです。
この「戦略対話」という言葉は、単なる事務的な協議とは一線を画します。これは、目先の懸案事項を処理するだけでなく、中長期的な視点から両国の国益や国際社会での役割について深く語り合う場を指しているのです。かつては頻繁に行われていたこの枠組みですが、2012年に日本政府が尖閣諸島を国有化したことで両国関係が急激に冷え込み、長らく中断を余儀なくされていました。
実に約7年ぶりとなる今回の再開は、冷え切っていた関係に春の訪れを感じさせる画期的な出来事と言えるでしょう。SNS上でもこのニュースは瞬く間に拡散されており、「ついに動き出したか」「隣国同士、対話の窓口が開くのは良いことだ」といった前向きな反応が目立ちます。一方で、尖閣諸島を巡る問題が解決したわけではないため、慎重に見守るべきだという声も少なくありません。
2020年の習近平国家主席来日を見据えた重要な布石
今回の軽井沢での対話において、最大の焦点となるのは2020年春に予定されている習近平国家主席の国賓としての来日です。最高指導者の訪問を実りあるものにするためには、事前の綿密な地ならしが欠かせません。両次官は、首脳外交を成功に導くための具体的な協力体制や、相互信頼をいかに醸成していくかについて、踏み込んだ意見交換を行うものと考えられます。
また、対話のテーブルに乗るのは二国間の問題に留まりません。北朝鮮による核・ミサイル開発の動向といった、東アジア全体の安全保障に直結する地域情勢についても議論が交わされる予定です。こうした「地域情勢」とは、周辺諸国の勢力均衡や平和を維持するためのパワーバランスを指しており、日中が足並みを揃えることが、アジアの安定に直結するのは間違いありません。
編集者の視点から申し上げれば、今回の対話が避暑地として知られる軽井沢で行われる点にも注目しています。あえて都会の喧騒を離れたリラックスできる環境を選ぶことで、より本音に近い対話を引き出そうという外交的な意図が感じられるからです。形式にこだわらず、未来志向の建設的な議論が展開されることを期待せずにはいられません。
世界経済が不安定さを増す中で、経済規模で世界2位と3位を占める日中両国が、対立ではなく対話の道を選んだ意義は極めて大きいでしょう。もちろん、歴史認識や領土問題など一朝一夕には解決できない課題は山積みです。しかし、2019年08月10日の対話が、互いの違いを認めつつ共通の利益を追求する「戦略的互恵関係」を再構築する第一歩となることを願っています。
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