2019年08月09日、厚生労働省は「賃金構造基本統計」における不適切な処理を巡り、現職および退職者を含む計14名の職員に対する処分を公表しました。本件は同年1月に発覚して以来、公的データの信頼性を揺るがす重大な問題として注目を集めていたものです。統計部門の最高責任者であった大西康之元政策統括官は文書による厳重注意となり、現場の責任者である中原慎一賃金福祉統計室長には訓告という判断が下されました。
そもそも「賃金構造基本統計」とは、労働者の賃金の実態を明らかにするために国が作成する非常に重要なデータのことを指します。これは企業の給与体系や雇用政策の基礎となるだけでなく、私たちの生活に直結する様々な給付金の算出根拠にもなる「基幹統計」の一つです。このような国家の根幹を成す調査において、長年にわたり不適切な手法が採られていた事実は、国民の行政に対する信頼を根本から損なう結果を招いてしまったと言わざるを得ません。
今回の処分では、歴代の局長級を務めた元職員ら12名に対しても、厳重注意やそれに相当する措置が執られたと報告されています。しかし、この決定に対してSNS上では「処分が甘すぎるのではないか」といった厳しい意見が相次いで噴出しました。特に、統計の誤りが原因で雇用保険などの過少給付が発生していた背景もあり、国民の生活に実害を与えた責任の重さと比較して、組織内での注意に留まる処分内容に納得できないという声が目立っています。
統計の精度は国の信頼そのもの。今後の再発防止に求められること
編集者の視点から述べさせていただくと、今回の問題は単なる事務的なミスではなく、組織としての「数字」に対する敬意の欠如が招いた悲劇だと感じます。統計は、いわば国の健康診断書のような役割を果たしており、その数値が歪めば適切な処方箋(政策)を書くことは不可能です。今回の処分によって一つの区切りを迎えた形にはなりますが、形式的な責任追及だけで終わらせては、再び同様の事態が起こる懸念を拭い去ることはできないでしょう。
今後は、外部の専門家による監視体制の強化や、統計業務に携わる職員の専門性を高める教育が不可欠となるはずです。一度失われたデータの信憑性を取り戻すには、地道で透明性の高い情報公開を積み重ねるしか道はありません。厚生労働省には、国民が安心して統計を利用できる環境を一日も早く再構築することを切に願います。2019年という年が、日本の統計改革の転換点として後世に記憶されるよう、徹底した再発防止策の遂行に期待しましょう。
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