2019年08月11日現在、冷え込んでいた日中関係に新たな変化の兆しが見え始めています。かつては「日本から学ぶべきものは残っていない」と強気の姿勢を崩さなかった中国ですが、ここへ来て再び隣国である日本の政治動向を熱心に分析し始めました。その視線の先にあるのは、日本の若年層が現在の政権に対して示している高い支持率という意外な事実です。
2019年07月の参議院選挙を終えた後、在日中国大使館が本国の北京へと送ったリポートの内容が話題を呼んでいます。そこには、安倍政権が勝利を収めた大きな要因として、若者世代からの揺るぎない支持があるという冷静な分析が記されていました。SNS上でも「なぜ若者が保守化するのか」という議論が活発ですが、隣国はその核心を「経済的な安定」に見出しているようです。
中国側が特に着目しているのは、日本における驚異的な就職率の高さです。専門的な言葉で言えば、これは「有効求人倍率」の改善や「完全失業率」の低下が、若者の生活実感としてポジティブに働いている状態を指します。やりたい仕事に就ける、あるいは少なくとも職があるという安心感が、社会への不満を抑え、結果として現政権への信頼感へと直結していると分析されているのでしょう。
経済不安が揺さぶる若者の心と国家の求心力
なぜ今、中国がこれほどまでに日本の雇用対策に注目するのでしょうか。その背景には、激化する米中貿易摩擦が影を落としています。貿易摩擦とは、国と国が関税を掛け合うなどして自国の利益を守ろうとする経済的な争いですが、これが中国国内の景気見通しを不透明にし、若者の将来不安を煽る結果を招いているのです。経済の減速は、そのまま政権への不信感に繋がりかねません。
私は、この現象こそが「衣食足りて礼節を知る」という言葉を地で行くものだと考えています。いかに華やかなスローガンを掲げても、明日の生活や自らのキャリアに不安があれば、若者が国を信じることは難しくなるでしょう。日本が実現している「雇用の安定」という果実は、政治的な思想を超えて、国家の基盤を固めるための最も強力な武器であることは間違いありません。
今後、中国政府は日本流の就労支援や若年層向けの経済政策をモデルケースとして、独自の対策を講じてくることが予想されます。若者の不満を取り除き、いかにして政権の求心力を維持し続けるかという課題は、日本にとっても中国にとっても共通のテーマです。2019年という激動の時代において、雇用という指標が持つ重みを改めて強く実感せずにはいられません。
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