2019年09月04日、世界中の注目を集める東京五輪・パラリンピックの準備が進む中で、大きな波紋を広げる問題が浮き彫りとなりました。大会組織委員会が発行したチケット購入に関する資料に、視覚障害者向けの点字版や音声CDが用意されていないことが判明したのです。誰もが楽しめる「共生社会」の実現を掲げるビッグイベントにおいて、情報の入り口で足止めを食らっている人々がいるという現実は、決して見過ごせない事態だと言えるでしょう。
組織委員会側は、公式ウェブサイトを「スクリーンリーダー」と呼ばれる音声読み上げソフトに対応させているため、アクセシビリティは確保されているとの見解を示しています。しかし、日本盲人会連合などの当事者団体からは、この対応では不十分だという厳しい声が上がりました。彼らが根拠として挙げているのは、政府が定めた「アクセシビリティ・ガイドライン(バリアフリー化の指針)」であり、多様な手段で情報を提供することが義務付けられているはずだと訴えています。
SNS上でもこのニュースは瞬く間に拡散され、多くのユーザーが議論を交わしています。「パラリンピックを開催する国として、情報のバリアフリーが徹底されていないのは残念だ」という批判的な意見が目立つ一方で、「デジタル化が進む中で、紙の点字よりもウェブ対応を優先するのは時代の流れではないか」という現実的な視点も散見されました。しかし、インターネット環境に慣れていない高齢の視覚障害者も多いことを忘れてはならず、議論は平行線をたどっています。
編集者の視点から申し上げれば、情報のデジタル化は確かに効率的ですが、それは「選択肢を削る」ことと同義であってはなりません。特に点字は、視覚障害を持つ方々にとって指先で情報を「読む」という確実な文化的手法であり、これを省略することは情報の格差、いわゆる「情報デバイド」を助長する恐れがあります。誰もが自力でチケットを手に入れる喜びを分かち合えてこそ、真のオリンピック精神が宿るのではないでしょうか。
今後、組織委員会がどのような改善策を講じるのか、あるいはウェブアクセシビリティの枠組みをどこまで広げるのかが注目されます。2020年の本番を目前に控え、物理的な会場のバリアフリーだけでなく、情報という目に見えないインフラの整備が急務となっています。一部の層が排除されることなく、すべての国民が等しく夢の舞台へとアクセスできる環境作りが、開催国である日本に今まさに問われているのです。
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