2019年09月06日、韓国の政治シーンはかつてないほどの緊張感に包まれました。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の最側近として知られるチョ・グク氏が、次期法相への就任を前に国会での人事聴聞会に臨んだからです。法相とは、日本でいう法務大臣にあたる要職であり、検察を指揮・監督する強大な権限を持つポストであることを忘れてはなりません。
この日、チョ・グク氏は娘の大学進学や家族が運営する学園財団、さらには不透明な投資疑惑について、国民の厳しい視線にさらされました。次々と新しい疑惑が剥(む)いても剥いても出てくる様子から、SNS上では彼を皮肉って「タマネギ男」と呼ぶ声が急増しています。しかし、本人は聴聞会の場において、一連の不正への直接的な関与を真っ向から否定し続けました。
現在、韓国国内の世論は、まさに真っ二つに割れている状況と言えるでしょう。ネット上では「既得権益を利用した特権階級の典型だ」という怒りの投稿が目立つ一方で、文政権を支持する層からは「検察改革を阻もうとする勢力の陰謀だ」という擁護論も根強く、激しい言葉の応酬が続いています。この対立の深さは、今後の政権運営において大きな火種になるに違いありません。
強行突破を図る文政権の狙いと検察捜査の行方
検察による異例の家宅捜索が進むという逆風の中でも、文在寅大統領はチョ・グク氏の任命を強行する構えを崩していません。ここで「人事聴聞会」という仕組みについて解説しておくと、これは大統領が指名した候補者の適性を国会が検証する場ですが、韓国の制度上、たとえ国会が反対しても大統領は最終的に任命を強行することが法的に可能なのです。
私個人の見解としては、文政権がここまで執拗に彼にこだわる背景には、悲願である「検察改革」を完遂したいという強い意地が感じられます。検察の持つ独占的な捜査権を分散させたい政権側にとって、チョ・グク氏は代えの利かない象徴的な存在なのでしょう。しかし、正義を標榜する政権が、疑惑の渦中にいる人物を法執行のトップに据える矛盾は、国民の納得を得るには程遠いと感じます。
2019年09月07日の時点において、事態は一刻の猶予も許さない局面を迎えています。捜査の手が伸びる中で強引に任命へと踏み切れば、それは国民に対する挑戦と受け取られかねないからです。民主主義の根幹を揺るがすこの騒動が、単なる一政治家のスキャンダルに留まらず、韓国社会全体の構造的な不信感へと繋がっていくのではないかと、強い懸念を抱かずにはいられません。
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