韓国の政治シーンに激震が走っています。文在寅(ムン・ジェイン)政権の目玉人事であり、次期大統領候補とも目されていた曹国(チョ・グク)法務部長官が、2019年10月14日午後に電撃的な辞意を表明しました。就任からわずか1カ月あまりという異例の短期間での退場は、支持率の急落に悩む現政権にとって、計り知れないダメージとなることは避けられないでしょう。
辞任の直接的な引き金となったのは、チョ氏の親族を巡る数々のスキャンダルです。娘の不正入学疑惑や不透明な私募ファンドへの投資など、剥いても剥いても疑惑が出てくる様子から、SNSやメディアでは「タマネギ男」という不名誉なニックネームが定着してしまいました。家族への検察捜査の手が伸びる中、チョ氏は「これ以上、家族のことで大統領や政府に負担をかけてはならない」と苦渋の決断を下したようです。
検察改革の「火付け役」としての幕引き
チョ氏が担当していた「法務部長官(法相)」とは、日本でいう法務大臣にあたり、検察組織を監督する強大な権限を持つポストです。彼は辞任直前の2019年10月14日午前にも、特捜部の縮小などを盛り込んだ検察改革案を発表したばかりでした。声明文では「自分は改革の火付け役に過ぎず、役割は終わった」と述べており、自らの身を引くことで改革の火を消さないよう配慮した形跡が伺えます。
しかし、国民の視線は厳しさを増す一方でした。リアルメーター社が2019年10月14日に発表した世論調査によれば、辞任を求める声は55.9%に達し、続投支持を大きく上回っています。文大統領への支持率も41.4%まで下落しており、これ以上の政権維持は困難であるという危機感が、今回の電撃辞任を後押ししたと言えるのではないでしょうか。
分断される韓国社会と文政権の正念場
文大統領は今回の事態を受け、「国民に葛藤(対立)を招いた点は非常に申し訳ない」と異例の謝罪を行いました。一方で、野党側からは「辞任は時すでに遅しだ」と厳しい批判が飛んでいます。SNS上では、チョ氏を「改革の旗手」として擁護する声と、「特権階級の象徴」として断罪する声が激しくぶつかり合っており、まさに韓国社会は二分された「産みの苦しみ」の真っ只中にあると言えます。
私個人の見解としては、いかに高潔な理想を掲げた改革であっても、それを実行する人物の公平性に疑念が生じれば、国民の同意を得ることは難しいと感じます。検察改革という大義名分が、一族の不祥事によって霞んでしまったのは誠に残念な結果です。今回の辞任によって文政権の求心力が低下する中、今後どのように国政を立て直していくのか、その手腕が厳しく問われることになるでしょう。
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