2019年09月30日の東京株式市場において、スマートフォン向けアプリ開発やシステム運用を手掛ける日本エンタープライズの株価が、驚異的な躍進を見せました。前週末比で一時49円(26%)高となる235円を記録し、約10カ月ぶりとなる高値圏へ突入しています。この急騰の背景には、同社が推進するスマートフォンの設定自動化技術が大手通信キャリアに採用されたという、極めてポジティブなニュースが存在します。
投資家の間で特に注目を集めたのは、2019年09月27日に発表された2019年06月から08月期の連結決算内容です。営業利益が前年同期の約2.6倍にあたる8,200万円にまで膨れ上がっており、本業の収益力が劇的に向上していることが証明されました。これを受けて市場では終日買い注文が殺到し、最終的な値上がり率は東証1部上場企業の中で首位を獲得するという、華々しい結果を残したのです。
好業績の立役者となったのは、専門用語で「キッティング」と呼ばれる業務の自動化プログラムです。キッティングとは、企業が社員に配布するスマートフォンなどの端末に対し、業務に必要なアプリのインストールやセキュリティ設定を事前に行うセットアップ作業を指します。従来は手作業で行われることが多かったこの工程を、日本エンタープライズは独自のプログラムで自動化し、大手通信会社からの受注を勝ち取ることに成功しました。
SNS上では「地味な作業に見えるキッティングの自動化こそ、DX(デジタルトランスフォーメーション)の本命ではないか」といった感心の声や、「利益率の改善が凄まじい」と驚く投資家の投稿が目立っています。植田勝典社長も、大手キャリアでの採用を足がかりに今後も継続的な受注拡大が見込めるとの強い自信を示しており、法人向けビジネスの基盤がより一層強固なものになることは間違いありません。
中古スマホ市場の活性化と新ルールが追い風に
同社の成長戦略は、端末の設定作業だけに留まりません。法人向け取引で築いたネットワークを最大限に活用し、使用済みのスマートフォンを大量に仕入れて再販する「中古スマホ事業」の強化にも乗り出しています。これは単なるリサイクルビジネスではなく、2019年10月01日から施行される携帯電話販売の新ルールを巧みに捉えた、非常に戦略的な一手であると評価できるでしょう。
新しいルールでは、通信料金と端末代金を切り離す「完全分離」が義務付けられ、高額な最新機種の購入ハードルが上がると予想されています。総務省も中古端末の流通を後押しする方針を打ち出しており、消費者の目が割安な中古スマホへ向くのは必然の流れです。日本エンタープライズはこの市場の変化を先取りし、法人からの大口仕入れルートを確保することで、他社にない競争優位性を築こうとしています。
私自身の見解としても、労働人口が減少する中で「設定の自動化」というBtoBの効率化需要は今後も枯渇することはないと考えます。また、環境意識の高まりから中古デバイスへの心理的障壁も下がっており、キッティングから端末流通までをワンストップで手掛ける同社のモデルは非常に合理的です。目先の利益だけでなく、制度の変化を味方につけるビジネスデザインには、編集者としても非常に知性を感じます。
一方で、現在の予想PER(株価収益率)は58倍台まで上昇しており、市場の一部からは過熱を懸念する声も上がっています。株価収益率とは、株価が1株あたりの純利益の何倍まで買われているかを示す指標で、期待値が高いほど数値も大きくなります。今の勢いを維持するためには、四半期ごとに中古スマホ販売やキッティング事業の具体的な成果を着実に示し続けることが、投資家からの信頼を繋ぎ止める鍵となるでしょう。
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