2019年10月17日、日本のゴルフ界が熱狂する「日本オープンゴルフ選手権」がいよいよ開幕を迎えます。注目は何といっても、現在賞金ランキングで首位に立つ今平周吾選手でしょう。前週のブリヂストンオープンで今季待望の初勝利を挙げたばかりの彼は、直近6試合連続でトップ10入りを果たすという、驚異的な安定感を維持しています。選手の総合的な実力を示す「平均ストローク」でも1位に君臨しており、今まさに最も勢いに乗っているプレーヤーと言えるはずです。
今平選手にとって、この日本一決定戦は特別な意味を持っています。かつてアマチュアとして出場した2008年大会では、深いラフと硬いグリーンに翻弄され、予選落ちを喫するという苦い経験を味わいました。当時の記憶を「距離はないが、フェアウェイからでもグリーンに乗せるのが難しい」と振り返る彼ですが、2年連続の賞金王を狙う今の実力をもってすれば、悲願のメジャータイトル獲得は決して夢ではありません。静かな闘志を燃やす彼のプレーに、多くのファンが期待を寄せています。
古賀ゴルフ・クラブに刻まれた小平智の原点と再起への誓い
一方で、米ツアーという厳しい戦場で揉まれてきた小平智選手からも目が離せません。2015年の覇者である彼は、昨年こそ欠場したものの、過去の大会では常に上位を争う抜群の相性を誇ります。米ツアーでは予選落ちが続くなど苦しいシーズンを過ごしていますが、本人は自らの技術力の向上を確信しているようです。「自分のレベルは上がっている」と語るその表情からは、世界で戦う中で磨き上げたプロとしての矜持が感じられます。
実は今回の舞台である古賀ゴルフ・クラブは、小平選手がプロの道を志すきっかけとなった運命の場所でもあります。2008年大会、同じくアマチュアとして出場していた彼は、先輩プロである片山晋呉選手の卓越した技を目の当たりにし、この世界で生きていく決意を固めました。SNS上では「苦境にある今こそ、原点の地で復活してほしい」といった激励の声が相次いでいます。どん底から這い上がるストーリーは、いつの時代も観る者の心を打つものです。
さらに、この大会を語る上で欠かせないのが、ベテラン勢の存在感です。かつてこの地で若き日の小平選手に刺激を与えた片山晋呉選手は、40代後半となった今も衰え知らずの技術で上位を脅かします。また、51歳の谷口徹選手は、9月の日本シニアオープンを制した勢いそのままに、同一年度でのダブル日本タイトル獲得という歴史的偉業に挑みます。若手の勢いと熟練の技が激突する、最高にエキサイティングな4日間が始まろうとしています。
私個人としては、ゴルフというスポーツの魅力は「記憶と技術の継承」にあると感じています。11年前、同じコースで打ちのめされた若者たちが、今や日本のトップとして戻ってくる。その姿を見守るレジェンドたちが、壁となって立ちはだかる。こうしたドラマこそが、日本オープンを単なる競技以上のものに昇華させているのでしょう。明日から始まる戦いで、誰が最後に「日本一」の称号を手にし、新たな歴史を刻むのか、一瞬たりとも目が離せそうにありません。
コメント