日本のインフラを支えるゼネコン大手4社の2019年4月1日から2019年9月30日までの連結決算が出そろいました。清水建設、大成建設、大林組の3社が中間期として過去最高の純利益を更新するという驚異的な数字を叩き出しています。都市再開発の波に乗り、各社の利益水準は5年前と比較して約5倍という異次元の成長を遂げているのです。
しかし、この輝かしい業績とは裏腹に、株式市場の反応はどこか冷ややかと言わざるを得ません。日経平均株価が上昇傾向にある中で、ゼネコン各社の株価はピーク時から2割から3割も下落したまま足踏みを続けています。SNS上でも「これだけ儲かっているのになぜ株価が上がらないのか」といった困惑の声や、将来を不安視する書き込みが目立っている状況です。
「五輪ロス」を恐れる投資家心理と市場の過剰な警戒感
株価が伸び悩む最大の要因は、2020年の東京五輪が終わった後に訪れるとされる景気後退、いわゆる「五輪後」への根強い警戒感にあります。投資家たちは、祭典が終われば建設ラッシュも一段落し、業績が急落するのではないかと疑っているのでしょう。企業の収益力に対して株価が割安かどうかを測る「PER(株価収益率)」を見ても、各社は1桁台という低い水準に放置されています。
PERとは、現在の株価が「1株あたりの純利益」の何倍まで買われているかを示す指標で、一般的に数値が低いほど割安、あるいは将来の成長が期待されていないことを意味します。現在のゼネコン株は、まさに「実績はあるけれど将来が不安」というレッテルを貼られている状態なのです。編集者の視点から言えば、この評価は少しばかり悲観的すぎるようにも感じられます。
実は、現場の採算性はむしろ改善の兆しを見せています。大林組の幹部が語るように、これまで経営を圧迫していたコンクリートなどの資材価格の上昇が落ち着き始めてきました。さらに、利益率の先行指標となる建築着工単価も上昇基調にあり、単価アップとコスト削減の「両利き」の経営が実現しつつあるのは、見逃せない好材料と言えるでしょう。
2020年以降も続く巨大プロジェクトとインフラ強靭化の波
「五輪が終われば仕事がなくなる」という説を覆すデータも存在します。2019年9月30日時点での手持ち工事高、つまり「すでに受注しているけれど未着手の仕事量」は、多くの企業で前年を上回る高水準を維持しているのです。大成建設の新国立競技場や鹿島の三井物産本社ビルなど、歴史に名を刻むような大型案件の竣工が2020年3月期の下半期には次々と控えています。
今後の展望に目を向けると、首都圏の再開発だけでなく、大阪万博やIR(統合型リゾート)といった巨大プロジェクトが目白押しです。加えて、昨今の台風被害などを受けた「国土強靭化」へのニーズも高まっています。ダムや堤防の整備といったインフラ強化は、景気対策と防災の両面から急務とされており、ゼネコンが果たすべき役割は今後さらに拡大していくはずです。
今のゼネコン株は、実力と評価の間に大きな溝がある「埋もれたお宝」のような状態ではないでしょうか。五輪後の不透明感を払拭するような受注が積み上がれば、投資家の安心感とともに株価が本来の価値を取り戻す日は近いでしょう。2019年11月13日現在のこの静かな市場の動きこそが、将来の大きな反発に向けた力を蓄えている時期なのかもしれません。
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