2019年11月13日、国内の大手私鉄14社による2019年4月から9月期の連結決算が出そろいました。驚くべきことに、そのうち11社が営業利益を伸ばすという、非常に力強い結果となっています。SNS上でも「鉄道会社なのに不動産で稼いでいるのか」「沿線の再開発が目覚ましい」といった驚きの声が上がっており、各社のビジネスモデルが大きな転換期を迎えていることが伺えるでしょう。
今回の好業績を力強く牽引したのは、鉄道事業そのものよりも、実は「不動産事業」なのです。特に南海電気鉄道は、2018年にオープンした大型複合ビル「なんばスカイオ」の稼働が極めて順調で、営業利益が前年比で23%も跳ね上がりました。このように、自社の沿線に魅力的な拠点を築くことで収益を安定させる戦略が、今まさに結実しているといえます。
なぜ今、鉄道会社が不動産に注力するのか
各社が不動産に力を入れる背景には、将来への危機感があります。現在、訪日外国人客(インバウンド)の影響で鉄道利用は好調ですが、2020年の東京五輪以降の動向は不透明と言わざるを得ません。また、中長期的に見れば少子高齢化による沿線人口の減少は避けられず、運賃収入だけに頼る経営には限界が見えています。そのため、天候や景気に左右されにくい賃貸事業が、経営を支える「守りの要」となっているのです。
近鉄グループホールディングスが2019年11月13日に発表した決算を見ても、売上高は前年同期比2%増の6134億円と堅調でした。特にマンション分譲などの不動産事業が5%増の699億円と寄与しています。ここでいう「連結決算」とは、親会社だけでなく子会社を含めたグループ全体の成績を指しますが、まさにグループ一丸となって収益源を多角化させている様子が分かりますね。
こうした動きは他社でも顕著です。東急は2019年11月1日に「渋谷スクランブルスクエア」を開業し、年間100億円もの増収を見込んでいます。また西武ホールディングスは、2027年のリニア中央新幹線開業を見据えた品川エリアの再開発を計画しており、不動産を鉄道やホテルに並ぶ「第3の柱」に育てる方針を掲げました。各社、駅を中心とした「街づくり」そのものが主戦場になっている印象です。
私自身の視点としては、この「鉄道会社による街のプロデュース」は、利用者にとっても利便性が高まる素晴らしい流れだと感じます。しかし、不動産価格の高騰により、優良な物件を手に入れるハードルは年々上がっています。今後は単に建物を建てるだけでなく、いかにその街の価値を高め、独自の魅力を生み出せるかという「企画力」が、私鉄各社の命運を握ることになるでしょう。
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