日本の老舗百貨店である高島屋が、大きな決断を下しました。2019年12月05日、村田善郎社長は一度は閉店を決意した上海店の営業を継続し、3年後の2023年2月期までに営業黒字へ転換させる方針を表明したのです。このニュースに対し、SNSでは「あの立派な建物が残って嬉しい」といった好意的な声や、「中国市場での再挑戦は険しい道だが応援したい」という期待が寄せられています。
そもそも上海店は、当初2019年08月25日をもって営業を終了する予定でした。しかし、物件のオーナー側との粘り強い交渉の結果、採算が見込める水準まで賃借料を引き下げることに成功したのです。経営を圧迫していた固定費という最大の壁を取り払ったことが、今回の「閉店撤回」という異例のドラマを生む決め手となりました。一度は諦めかけた場所で再び勝負を挑む姿勢には、企業の強い意地が感じられます。
「日本流」のこだわりと最新会計基準への対応
現在、上海店の売り場には約3割の空きスペースが生じていますが、高島屋はここをチャンスの場と捉えています。衣料品や食品の分野で、徹底的に「日本らしさ」を追求した品揃えを強化し、現地の富裕層や中間層を惹きつける戦略です。また、海外子会社が採用する「IFRS(国際会計基準)」という世界共通のルールに基づき、リースの処理方法が変更された影響を除いた実質ベースでは、2020年2月期に約8億円の赤字を見込んでいます。
ここで注目したいのが、専門的な「IFRS」のリース会計処理です。これは簡単に言えば、店舗の賃借料を費用として計上するのではなく、資産と負債としてバランスシートに載せる複雑な仕組みを指します。この会計上の数字に振り回されず、実質的なキャッシュの流れを改善することで、村田社長は2023年2月期に向けた確固たる自信をのぞかせています。空きスペースを新たな魅力的なテナントで埋め尽くせば、勝機は十分にあるでしょう。
アジア4カ国を繋ぐ成長戦略の鍵
高島屋の視線は、もはや国内だけではなく、ダイナミックに成長するアジア市場全体に注がれています。シンガポール店はすでに年間50億円を超える利益を叩き出す大黒柱となっており、ベトナムのホーチミン店も市民の所得向上を背景に、今期中の黒字化が目前に迫っています。こうした成功体験を積み重ねているからこそ、上海店での逆転劇も決して夢物語ではないと私は確信しています。
タイの「サイアム高島屋」についても、現在は高架鉄道(BTS)の駅接続が遅れているものの、インフラさえ整えば中間所得層の波が押し寄せるはずです。海外4カ国の拠点がすべて利益を稼ぐ体制が整えば、高島屋は「日本の百貨店」から「アジアの百貨店」へと真の変貌を遂げることでしょう。成熟した国内市場に頼るのではなく、果敢に外貨を稼ぎにいく姿勢は、これからの日本企業のあり方を示す光り輝く道標になるはずです。
コメント