生命の設計図を書き換える「ゲノム編集技術」を人間の受精卵に施し、3人の赤ちゃんを誕生させたという衝撃的なニュースが世界中を駆け巡りました。中国広東省深セン市の南山区人民法院(裁判所)は、違法医療行為の罪に問われていた南方科技大学の元副教授、賀建奎被告に対し、懲役3年と罰金300万元(約4700万円)の実刑判決を下したのです。中国国営中央テレビの電子版などが一斉にこのニュースを報じ、医療界だけでなく一般社会にも大きな激震が走っています。
そもそもゲノム編集とは、遺伝子をピンポイントで切り貼りして書き換える革新的な技術のことです。農作物の品種改良などでは期待されていますが、人間の赤ちゃんに施すとなると話は別でしょう。今回の判決により、2019年1月に広東省が発表した調査結果で双子の誕生と、もう一人の女性の妊娠が明かされていた件について、最終的に計3人の「ゲノム編集ベビー」が実際に誕生していたことが司法の場でも正式に認定される形となりました。
報道によれば、賀被告は2016年以降、人間の受精卵が育った胚にこの遺伝子操作を行い、商業的な利益を得ようと目論んでいたとされています。さらに、広東省内の医療機関の関係者2人と共謀して計画を進めていたことも判明しました。医療の発展のためではなく、ビジネスとしての利益を優先して一線を越えてしまったその姿勢には、科学者としての倫理観が完全に欠如していたと言わざるを得ず、強い憤りを禁じ得ません。
この前代未聞の事態に対し、SNS上では「人間の生命をまるで実験道具のように扱うなんて許されない」「神の領域に踏み込んでしまった代償は大きすぎる」といった厳しい批判の声が相次いでいます。その一方で、「今回は実刑となったが、他の国で闇の技術として進まないか心配だ」というように、今後の監視体制を不安視する意見も目立ちました。科学技術の暴走が現実のものとなった今、世界的なルール作りが急務となっています。
人為的に遺伝子を改変された子供たちが、将来的にどのような健康被害や予期せぬ影響を受けるかは誰にも分かりません。一度書き換えられた遺伝情報は、彼らの子孫へも受け継がれていく可能性があるのです。人類の未来を左右しかねない技術だからこそ、目先の利益に囚われることなく、厳格な法規制と倫理的な議論を徹底的に重ねるべきでしょう。2020年01月16日のこの判決は、今後の科学界に重い教訓を残すはずです。
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