ヨーロッパの勢力図が大きく塗り替わる歴史的な瞬間が、いよいよ目の前に迫っています。イギリス議会下院では、欧州連合(以下、EU)からの離脱条件を定めた法案の審議が2020年01月07日から再開されました。2020年01月09日の法案通過に向けて秒読み段階に入っており、世界中の注目が集まっています。2019年12月の総選挙でボリス・ジョンソン首相率いる保守党が圧倒的な勝利を収めたため、法案が予定通りに可決されることは確実視される情勢です。これにより、2020年01月31日という期限でのEU離脱が現実のシステムとして動き出すでしょう。
今回の法案は、2019年10月中旬にイギリスとEUの間で合意された内容がベースとなっています。長年の懸案事項であった英領北アイルランドの国境管理問題の解決策や、離脱の際にイギリスが支払うべき「手切れ金」とも言われる清算金の詳細が盛り込まれました。SNS上でも「ついにここまできたか」「イギリスの決断が世界経済にどう影響するのか見守りたい」といった、歴史の転換点を実感する声が数多く寄せられています。単なる政治の駆け引きではなく、人々の生活に直結する大きな変化が始まろうとしているのです。
しかし、最も議論を呼んでいるのは、激変を緩和するために設けられた「移行期間」を2020年12月末以降は絶対に延長しないと法律で縛った点にあります。移行期間とは、離脱後も一定の間はこれまで通りの経済関係を維持し、貿易などのルールを急に変えないための猶予の仕組みです。ジョンソン首相はこの期間の延長を禁止することで、EU側との自由貿易協定(以下、FTA)交渉を短期間で妥結させ、完全な自立を早期に勝ち取る狙いを見せています。このスピード重視の姿勢からは、強いリーダーシップと覚悟が感じられます。
これに対して野党は猛反発を見せており、SNSでも「あまりに性急すぎる」「経済への大打撃が心配」との懸念が広がっているようです。なぜなら、2020年末までに交渉がまとまらなければ、関税が突如として復活し、物流がストップしかねない「合意なき離脱」と同じ大混乱に陥るリスクがあるからです。最大野党の労働党は期間延長を求める修正案の提出を予定しており、残留派のスコットランド民族党も独自の対抗策を模索しています。慎重さを求める野党の主張も、国民の生活を守る視点からは極めて全うな意見と言えるでしょう。
ただ、現在の議会は総選挙を経て保守党が絶対多数を握っているため、野党の抵抗は実を結ばない可能性が濃厚です。筆者の視点としては、期限を区切って交渉を加速させるジョンソン首相の手法は、停滞した政治を一歩進めるカンフル剤として一定の評価ができます。その一方で、経済的な安全網を自ら断つ戦略は、一歩間違えればイギリス国民に多大な痛みを強いる諸刃の剣です。2020年01月中旬の法案成立に向け、イギリスがどのような針路をたどるのか、私たちは固唾をのんで見守る必要があります。
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