「肉の革命」が止まらない!米食肉大手が続々参入する「植物肉」最新事情とフレキシタリアンの台頭

2019年07月17日現在、アメリカの食卓に大きな変化の波が押し寄せています。植物性たんぱく質を原料に、まるでお肉のような食感や味わいを再現した「植物肉(プラントベースドミート)」が、いよいよ本格的な普及期に突入しました。これまではシリコンバレーの先進的な新興企業が市場を牽引してきましたが、今年に入り、世界的な食品大手が相次いで参入を表明しています。若年層を中心に支持が広がるなか、既存の食肉産業もこの巨大なトレンドを無視できなくなったようです。

2019年06月上旬、ルイジアナ州で開催された食品技術の見本市「IFT」では、植物性たんぱく質に関連する出展が爆発的に増加しました。豆由来の食材を扱う専門家の講演には、有料イベントであるにもかかわらず、大手食品会社の幹部ら90人近くが詰めかけるという異例の事態となっています。人々が熱い視線を送るのは、単なる野菜料理ではなく、肉の風味を極限まで追求した代替食品です。数年前までは一部の都市部のレストランに限られていた光景が、今や全米へと広がりつつあります。

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食肉界の巨人が動く!「本気」のブランド展開がスタート

この変化を象徴するのが、アーカンソー州に拠点を置く食肉大手のタイソン・フーズです。同社は2019年06月、えんどう豆のたんぱく質などを用いたナゲットを今夏にも全米のスーパーで発売すると発表しました。さらに2019年0秋には、えんどう豆と牛肉をブレンドしたハンバーガー用パティも投入する予定です。新ブランド「Raised&Rooted」を立ち上げ、これまで培ってきた供給網を武器に、植物肉市場での覇権を狙う構えを見せています。

また、鶏肉加工大手のパーデュー・ファームズも負けてはいません。同社は鶏肉にカリフラワーやひよこ豆を混ぜ合わせた「チキンプラス」という新ブランドを設立し、2019年09月にナゲットやパティの発売を控えています。こうした動きに対し、SNS上では「ついに大手が動いた!」「スーパーで手軽に買えるようになるのは嬉しい」といった期待の声が上がる一方で、「純粋な植物肉ではなく肉を混ぜるのか」という驚きの反応も寄せられている状況です。

「フレキシタリアン」が市場を拡大させる鍵

なぜ今、これほどまでに大手企業が参入を急ぐのでしょうか。その背景には「フレキシタリアン」と呼ばれる新しい消費者層の存在があります。これは「フレキシブル(柔軟な)」と「ベジタリアン(菜食主義者)」を掛け合わせた造語で、基本は菜食中心ながらも、時には肉や魚も楽しむという柔軟なライフスタイルを指す言葉です。健康や環境への配慮から、完全に肉を断つわけではないものの、摂取量を減らしたいと考える層が急増しているのです。

外食チェーンの動きも加速しています。2019年01月には「カールスジュニア」が全米1100店舗で植物肉バーガーを導入しました。続いて業界2位の「バーガーキング」も、2019年04月から一部の州で試験販売を開始したところ、予想を上回る反響を得たため販売地域を順次拡大しています。こうした大手チェーンでの採用は、植物肉がもはや流行に敏感な層だけのものではなく、一般市民の日常的な選択肢になったことを明確に示していると言えるでしょう。

さらに、投資家からの注目度も格段に高まっています。2019年05月に「ビヨンド・ミート」が株式公開(IPO)を果たしたことは、市場の熱狂を象徴する出来事でした。IPOとは、企業が初めて株式を証券取引所に上場させ、誰もが売り買いできるようにすることを指します。同社の売上高が前年同期比で3倍以上に急成長している事実が明らかになったことで、メディアの報道も過熱し、植物肉ビジネスは今や最も注目される成長分野のひとつとなっています。

伝統と革新の狭間で揺れる食肉業界の本音

ただし、大手食肉メーカーの戦略には「伝統的な畜産業への配慮」という複雑な事情も見え隠れしています。彼らが展開する製品の多くは、100%植物由来ではなく、実際の肉と植物性材料を混ぜ合わせた「コンパウンド(混合品)」です。これは、味わいや栄養面でのメリットを強調しつつも、長年共生してきた畜産農家との関係を維持したいという本音の表れかもしれません。肉のプロだからこそ、完全に肉を捨て去ることへの葛藤があるのでしょう。

編集者の視点として付け加えるならば、この「混合品」というアプローチこそが、植物肉が真に市民権を得るための現実的な一歩になると考えています。100%か0%かという極端な選択ではなく、日常のなかで少しずつ環境や健康に良いものを取り入れる。そんな「ゆるい革命」が、今の時代にはフィットしているのではないでしょうか。企業側が既存の利害関係を守りつつ、新しい価値観を提示する姿勢は、ビジネスの持続可能性という意味でも非常に興味深い挑戦です。

アメリカの東西海岸から始まったこのブームは、今や全米のスーパーの棚を塗り替えようとしています。世界の人口増加に伴う食糧不足が懸念されるなか、環境負荷を抑えつつたんぱく質を確保するという大義名分は、今後さらに重みを増していくはずです。果たしてどのお肉が消費者の心と胃袋を掴むのか、スーパーの店頭で各社が激しく火花を散らす日は、もう目の前まで迫っています。食卓の風景が劇的に変わる瞬間に、私たちは今、立ち会っているのです。

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