兵庫県豊岡市の公務員採用試験が話題!劇作家・平田オリザ氏が仕掛ける「演劇」を取り入れた革新的な選考手法とは

全国各地で公務員試験が本格化する季節が巡ってきました。こうした中、2019年9月に兵庫県豊岡市へ移住し、市政参与という立場で街づくりに携わっている劇作家の平田オリザ氏が、同市の職員採用におけるユニークな取り組みを紹介し、大きな注目を集めています。

豊岡市の採用試験で特筆すべきは、選考プロセスに「演劇」を用いたグループワークを導入している点でしょう。2019年に実施された試験では、2040年に特産品のカニが獲れなくなり、環境団体からも厳しい目が向けられるという、非常に具体的かつ困難な未来のシチュエーションが課題として提示されました。

受験生に課せられたのは、この危機的状況において名物のカニ料理をどう守り抜くかというテーマです。利害関係者である「ステークホルダー(活動によって影響を受ける人々)」を特定し、検討委員会の場を想定した「ディスカッションドラマ」を創作することが求められました。

この手法が一般的なディベートと決定的に異なるのは、自らの主張を押し通すことが目的ではない点です。他者と歩み寄りながら議論を活性化させる「折り合い」の能力が試されます。リーダーシップはもちろん、周囲の声に真摯に耳を傾ける姿勢や、進行を支える調整役も高く評価の対象となります。

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管理職だけが選ばない「働く仲間」を選ぶための選考改革

審査体制にも独自の工夫が凝らされています。審査員には特定の層に偏りが出ないよう、各年代の男女をバランスよく配置しているのです。これは、管理職だけで選考を行うと、どうしても自分にとって扱いやすい人物を選んでしまう傾向を打破するためだと平田氏は指摘します。

この改革の背景にあるのは「個人の能力を測る試験から、共に働く仲間を選ぶ試験へ」という明確なコンセプトです。若手の試験官には、純粋に「この人と一緒に仕事がしたい」と思える候補者を選んでほしいという願いが込められており、組織の活性化を狙った非常に先鋭的な試みだと言えるでしょう。

選考のスケジュールは非常にタイトです。午前中に前述のグループワークを行い、2019年12月5日の段階でも実施されている午後からの最終面接には、市長や副市長、教育長といった市のトップが顔を揃えます。そこでは午前中のパフォーマンスについて深く問われるため、事前の丸暗記は通用しません。

ネット上でも「公務員には調整力が必要だから理にかなっている」「自分の自治体でも導入してほしい」といった好意的な反応が目立ちます。一方、こうした新しい選考で採用された職員たちが、将来どのような活躍を見せるのか、その真価が問われるのは十数年後の未来になるはずです。

私自身の考えを述べさせていただけるなら、この試みは現代の公務員に求められる「正解のない問いに立ち向かう力」を育む素晴らしい一歩だと感じます。画一的な筆記試験の点数だけでは見えてこない、人間味あふれるコミュニケーション能力こそが、これからの地方創生を支える鍵になるに違いありません。

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