福岡を拠点にエネルギーを支える西部ガスが、未来に向けた力強い一歩を踏み出しました。同社は2019年11月14日、2020年度からスタートする3カ年の次期中期経営計画を公表し、成長分野へ最大500億円を投じる方針を明らかにしました。
今回の計画で注目すべきは、これまでのガス事業の枠を超えた「成長への執念」です。道永幸典社長は会見で、挑戦する風土が根付いた今こそ、新たな事業の柱を確立するために投資を惜しまない姿勢を強調しており、その決意は並々ならぬものと感じられます。
不動産事業を「第2の柱」へ!北部九州の街づくりを牽引
投資額の大部分が充てられる見通しの不動産事業は、まさに同社の新機軸といえます。特に福岡市を中心としたマンションやオフィスの賃貸事業に注力する方針です。これは地域密着型のインフラ企業だからこそ、土地の価値を最大限に引き出せるという自信の表れでしょう。
道永社長は、物件を取得して一定期間賃貸した後に転売する、自動車のローンに近いビジネスモデルの可能性も示唆しました。すでに2017年のエストラスト買収や、2019年2月の地元ゼネコン傘下入りなど、着々と布石を打っている点に同社の本気度が伺えます。
SNS上では「ガス会社が不動産?と驚いたが、福岡の成長を考えれば賢い選択」「地元の企業が街づくりに深く関わるのは心強い」といった、同社の多角化を前向きに捉える声が上がっています。売上高比率を19%まで引き上げるという目標も、現実味を帯びて聞こえます。
北九州からアジアへ!LNG輸送ハブ構想と産業用ガスの開拓
もう一つの目玉は、アジア向けのLNG(液化天然ガス)事業です。マイナス162℃まで冷却して液体化したLNGを、北九州市の「ひびきLNG基地」で小分けにし、アジア諸国へ届ける「輸送ハブ」にするという、非常に壮大かつ戦略的な青写真を描いています。
この構想を具現化するため、2019年9月にはロシアのガス大手ノバテク社と、2020年3月の合弁会社設立に向けた協議を開始しました。エネルギーの地産地消ならぬ「地産外商」とも言えるこの試みは、人口減少社会におけるインフラ企業の新しい生存戦略と言えます。
もちろん、本業のガス販売も手を緩めません。自由化による競争が激化する中、同社は工場などの産業用需要に活路を見出しています。パイプラインが未整備の地域に対しても、タンクローリーを活用して供給範囲を広げ、販売量を14%増加させるという野心的な計画です。
道永社長は、明治の激動期を描いた小説『坂の上の雲』を引用し、今の西部ガスを「開化期を迎えようとする姿」に例えました。既存の枠組みを壊し、不動産や海外へと羽ばたく同社の姿勢は、多くの地方企業の指針となるのではないでしょうか。期待が高まります。
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