日本のエネルギー供給を支える巨大企業、出光興産から驚きのニュースが飛び込んできました。同社は2019年11月14日、2020年3月期の連結純利益予想を、従来の1600億円から1000億円へと大幅に引き下げると発表したのです。引き下げ額は実に600億円に上ります。
今年4月に昭和シェル石油との経営統合を果たし、新たなスタートを切ったばかりの同社ですが、今回の下方修正により前期比での増益幅はわずか6%にとどまる見通しとなりました。当初の予想では69%増という強気な数字を掲げていただけに、市場関係者の間でも動揺が広がっています。
今回の業績悪化を招いた最大の要因は、主力である燃料油部門の苦戦です。特に、2018年に商用生産を開始したばかりのベトナム・ニソン製油所で発生した装置トラブルが、経営に重い影を落としています。点検作業による稼働率の低下が、約240億円もの利益を押し下げる結果となりました。
さらに、世界的な原油価格の下落も逆風となりました。ドバイ原油の想定価格を1バレルあたり63ドルへと7ドル引き下げたことで、在庫評価損、つまり安値で原油を抱えることによる損失が280億円発生しています。資源安は資源開発事業の採算も悪化させ、利益予想を大きく削り取りました。
業界全体を覆う暗雲と将来への布石
この厳しい状況は出光興産一社に限った話ではありません。業界トップのJXTGホールディングスも先に下方修正を行っており、2社合計の減額幅は2250億円という巨額に達しています。2019年4月から9月期の決算は全社が大幅減益となり、まさに石油元売り業界全体が正念場を迎えていると言えるでしょう。
SNS上では「大型統合後でも外部環境には勝てないのか」「ガソリン需要の減少に加えてトラブル続きで不安」といった厳しい意見が目立ちます。また、2018年9月末と比較して出光の株価が48%も下落している現状に対し、投資家からは慎重な姿勢を崩せないという嘆きの声も上がっています。
しかし、出光興産は決して守りに徹しているわけではありません。同日には中期経営計画を公表し、2023年3月期には純利益1750億円、ROE(自己資本利益率)10%以上という高い目標を掲げました。ROEとは投資された資本でいかに効率よく稼いだかを示す指標で、企業の稼ぐ力を表します。
編集者の視点から見れば、今回の下方修正は統合直後の「産みの苦しみ」とも受け取れます。エネルギー業界は地政学リスクや価格変動の影響を受けやすい宿命にありますが、統合によって強固になった経営基盤が、今後の反転攻勢にどう活かされるのか、引き続き注視が必要だと強く感じています。
コメント