静岡県磐田市に本拠を置くヤマハ発動機が2019年08月08日、投資家やファンにとって穏やかではない決算発表を行いました。同社が公表した2019年12月期の連結業績予想によれば、最終的な儲けを示す純利益が前期と比較して14%減少する800億円にとどまる見通しです。当初は9%減の850億円と想定されていましたが、そこからさらに50億円も下方へ修正される形となりました。
今回の業績悪化を招いた最大の要因は、世界経済を揺るがしている「米中貿易摩擦」の影響に他なりません。アメリカと中国の対立によって企業の設備投資に対する意欲が急速に減退しており、工場などで活躍する産業用ロボットの需要が激しく落ち込んでいます。SNS上では「ハイテク分野の冷え込みが想像以上だ」といった、製造業の先行きを不安視する声が数多く寄せられている状況です。
二輪車市場の明暗と為替の荒波が直撃
売上高についても、従来の見通しから300億円引き下げて1兆6700億円となる見込みです。世界を駆けるヤマハブランドの代名詞である二輪車事業ですが、ベトナムや台湾といった新興国の一部で需要の冷え込みが顕著になっています。フィリピンやインドネシアでの販売は堅調に推移しているものの、一部地域の不振をカバーするには至らず、全体としては厳しい戦いを強いられているようです。
さらに、先進国向けのビジネスにおいては「円高」という壁が立ちはだかっています。特にヨーロッパ通貨であるユーロに対して円の価値が上がってしまうと、現地で稼いだ利益を日本円に換算した際に目減りしてしまうため、収益を押し下げる要因となります。経営の舵取りを担う日高祥博社長は、2019年08月08日の記者会見にて、先行きを予測することの難しさを苦渋の表情で語りました。
営業利益に目を向けると、前期比11%減の1250億円まで下方修正される見通しとなっており、特に中国市場におけるロボット販売の停滞が影を落としています。「産業用ロボット」とは、組み立てや溶接などを自動で行う機械のことですが、工場の新設や改修がストップすれば真っ先に影響を受ける分野です。この不透明な情勢の中でも、年間配当を90円で据え置いた点は、株主への還元を重視する同社の意地が感じられます。
あわせて発表された2019年01月01日から2019年06月30日までの上半期決算は、売上高が前年同期比で1%増の8559億円を確保しました。しかし、利益面では純利益が8%減の521億円となっており、売上は伸びても利益が削られるという苦しい構図が浮かび上がっています。編集者の視点から言えば、今のヤマハには、外部環境に左右されない次なる成長の柱を構築することが急務であると感じます。
厳しい数字が並んだ今回の発表ですが、これは決して同社の製品力が衰えたわけではなく、巨大な国際政治の渦に巻き込まれた結果と言えるでしょう。ネット上では「この苦境こそが買い時だ」と強気に構える投資家も散見されますが、しばらくは慎重な動向観察が必要になりそうです。今後、どのようにして逆風を跳ね返していくのか、伝統ある「モノ創り」の底力に期待しながら注視していきたいところですね。
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