ビル設備管理の世界に、今まさに破壊的なイノベーションの波が押し寄せています。業界大手のジョンソンコントロールズ(JCI)が、2020年内に国内でのサービス開始を予定している新システム「デジタル・ボルト(Digital Vault)」を発表しました。これは単なる装置のアップグレードではなく、建物そのものを「知能化」させる壮大なプロジェクトです。
従来のビル管理といえば、機器ごとに独立したシステムが動いていることが一般的でした。しかし、この「デジタル・ボルト」は、空調や照明、セキュリティから自動ドアに至るまで、ビル内のあらゆるセンサーデータをインターネット上に集約・分析します。SNS上でも「ついにビルがクラウドで統合される時代が来た」と、その先進性に驚きの声が上がっています。
マイクロソフトとタッグを組んだ「Azure」活用の破壊力
このシステムの心臓部を支えるのは、米マイクロソフトの強力なクラウドプラットフォーム「Azure(アジュール)」です。Azureとは、世界中の膨大なデータを安全かつ高速に処理するための巨大なコンピューターネットワークを指します。これを基盤にすることで、ビルの稼働状況をリアルタイムで可視化し、最適な運用をAIが導き出すことが可能になるのです。
特に注目すべきは、空調冷熱機器、いわゆる「HVAC(エイチバック)」の最適化でしょう。HVACとは「Heating, Ventilation, and Air Conditioning」の略称で、暖房・換気・空調を統合的に制御する技術です。建物のエネルギー消費の大部分を占めるこの分野に切り込むことで、大幅なコスト削減と環境負荷の低減が期待されています。
2020年10月02日の発表によれば、ジョンソンコントロールズは従来の「装置を売るビジネス」から、月額課金などの「サービスを提供するビジネス」へと大きく舵を切る方針です。ユーザー側としては、初期投資を抑えつつ常に最新の管理機能を利用できるメリットがあり、サブスクリプション型の管理体制は今後の業界標準となるに違いありません。
編集者の視点:データが変える「建物の価値」
編集部としては、この動きを単なる効率化ツールとは捉えていません。異なる通信規格が混在するビルのデータを一元管理できる柔軟性は、古いビルでも最新のスマートビルに生まれ変われる可能性を示唆しています。データの蓄積が建物の資産価値に直結する時代が、いよいよ2020年から本格的に幕を開けるのではないでしょうか。