九州を地盤とするふくおかフィナンシャルグループが、2019年11月11日に驚きの発表を行いました。2020年3月期の連結純利益予想を、従来見込みから100億円も引き下げ、1485億円にするとの見通しを明らかにしたのです。前期と比べれば2.9倍という数字ではありますが、大幅な下方修正に金融業界からは注目が集まっています。
未来への投資が生んだ大幅な下方修正
この下方修正の背景には、経営基盤の強化へ向けた大きな動きが隠されています。主な要因の一つは、傘下にある十八銀行と親和銀行の合併に伴う店舗統合の費用です。同グループは2019年4月に十八銀行を統合し、2020年10月には親和銀行との合併を予定しています。さらに、新たなインターネット専業銀行「みんなの銀行」を立ち上げるためのシステム投資なども、今回の見通しに影響を与えたと言えるでしょう。
店舗の統合計画では、2022年3月を目処に両行の営業拠点を185カ所から114カ所へと大幅に減らす予定となっています。これに伴い、約100億円の「固定資産減損損失」が計上されました。これは、今後使われなくなる店舗や土地などの資産価値が低下した分を、あらかじめ損失として会計上処理する仕組みのことです。組織を身軽にするための、痛みを伴う必要な手続きだと考えられます。
SNS上では、このニュースに対して様々な反響が寄せられています。「馴染みの店舗がなくなるのは寂しいけれど、人口減少の時代だから仕方がない」といった声や、「新しいネット銀行のサービスがどんなものになるのか楽しみ」といった期待のコメントが見受けられました。地方銀行がデジタル化に本気で取り組む姿勢に対し、多くのユーザーが強い関心を抱いている様子が伺えます。
過去最高益の裏に隠された「本業の苦戦」
一方で、同時に発表された2019年4月から2019年9月期の連結純利益は、前年の同じ時期と比べてなんと5倍となる1352億円を記録しました。これは過去最高益であり、2期ぶりの増益という華々しい結果です。一見すると下方修正のニュースと矛盾しているように感じられますが、ここには会計上の特殊な要因が大きく絡んでいます。
この劇的な利益増大の理由は、十八銀行を統合した際に生じた「負ののれん」と呼ばれる発生益が計上されたためです。「負ののれん」とは、企業を買収する際に、相手の持つ純資産の価値よりも安い価格で買い取ることができた場合、その差額が利益として扱われる専門用語です。要するに、非常に割安で企業を統合できたことで、帳簿上の利益が一時的に大きく膨らんだ状態なのです。
しかし、実態を詳しく見ていくと、厳しい現実も浮かび上がってきます。グループ内の4つの銀行を単体で合算した純利益は、実は40%も減少して197億円にとどまりました。さらに、銀行の本来の業務でどれだけ稼ぐことができたかを示す「実質業務純益」に関しても、9%マイナスの393億円に落ち込んでいます。本業の部分では、かなり苦戦を強いられていると言えるでしょう。
この本業の苦戦を引き起こしている大きな要因は、日本銀行が推し進める「マイナス金利政策」です。銀行が日銀にお金を預ける際に逆に手数料を取られてしまうこの政策により、有価証券からの利息や配当金が大きく減少してしまいました。加えて、将来の経済状況に対する不安から投資信託の販売が伸び悩んだことも、銀行の収益を直接的に圧迫する原因となっています。
今回のふくおかフィナンシャルグループの決算発表を見て、私は地方銀行が直面している過酷な環境と、そこから脱却しようとする強い意志を感じました。本業の収益環境が厳しい中、痛みを受け入れながらも実店舗を削減し、デジタル領域という未知の分野へ先行投資する姿勢は、生き残りを懸けた正しい決断だと確信しています。今後も彼らの果敢な挑戦から目が離せません。
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