JSRが挑む「個別化医療」の衝撃!合成ゴムの巨人がライフサイエンスで売上1000億円を目指す次世代戦略とは

2019年09月19日、日本の素材産業を牽引してきた合成ゴム大手のJSRが、大きな転換点を迎えようとしています。同社は今、長年培ってきた工業用素材の技術を基盤に、人々の命を救う「ライフサイエンス分野」を次なる成長の柱に据えました。特に注目すべきは、患者さん一人ひとりに最適な治療を提供する「個別化医療」への本格参入です。これまで買収してきたグループ各社の強みを融合させ、強固な事業基盤を築きつつあります。

このライフサイエンス事業は、2018年度に悲願の営業黒字化を達成しました。売上高は前年度比で驚異の6割増となる439億円を記録しており、その勢いは止まる所を知りません。JSRは、2020年代に掲げた売上高1000億円という野心的な目標を、前倒しで実現しようと牙を研いでいます。素材メーカーから総合バイオ企業へと変貌を遂げる同社の姿勢は、市場からも熱い視線を浴びており、SNSでも「日本の化学メーカーが医療を救う」と期待の声が上がっています。

スポンサーリンク

デジタルとバイオの融合「バイオインフォマティクス」が導く未来

JSRが主軸に据えるのは、最先端の「バイオインフォマティクス(生物情報科学)」です。これは、コンピュータを駆使してDNAやRNA、タンパク質の膨大なデータを解析する手法を指します。特にがん治療において、薬の効果を事前に予測するための目印となる「バイオマーカー」の探索が重要となります。これまでのように、効果が出るか分からない治療を何度も試す負担から患者さんを解放する、まさに社会的意義の大きな挑戦と言えるでしょう。

この戦略の鍵を握るのが、2018年に約440億円で傘下に収めた米クラウン・バイオサイエンス・インターナショナルです。同社は欧米や中国に拠点を持ち、新薬候補の探索において世界トップクラスのデータ収集能力を誇ります。JSRは今後、巨大市場である中国での拠点をさらに拡大する方針を示しました。デジタル技術と生物学的な知見を掛け合わせることで、創薬プロセスの効率を劇的に高める狙いが透けて見えます。

M&Aで完成した垂直統合モデルと迅速な経営体制

JSRの強みは、過去数年の緻密なM&A戦略にあります。2015年には医薬品の製造受託を行う米KBIを、2017年には細胞株の培養に長けたスイスのセレクシスを買収しました。これにより、新薬のタネを探す段階から実際の製造に至るまで、製薬会社に対してワンストップでサービスを提供できる体制が整ったのです。2019年6月からは、新CEOのエリック・ジョンソン氏が同事業を直轄しており、意思決定のスピードはかつてないほど速まっています。

現在、主力の合成ゴム事業は中国市場の減速により厳しい状況にあり、半導体材料事業も国際情勢の影響を受けやすいリスクを抱えています。だからこそ、市況の変動に左右されにくいライフサイエンス事業への期待は高まるばかりです。私個人の見解としては、素材開発で培った「緻密な制御技術」は、バイオ分野でも必ずや強力な武器になると確信しています。素材の巨人が医療の常識を塗り替える日は、すぐそこまで来ているのかもしれません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました