2019年12月9日、波乱に満ちた第200臨時国会がその幕を閉じました。今回の国会で最大の注目点となっていたのは、自民党が悲願とする憲法改正への足掛かり、すなわち「国民投票法改正案」の成否です。しかし、結果として同案の成立は見送られる形となりました。安倍晋三首相は、自身の自民党総裁任期である2021年9月までの改憲という目標を依然として掲げていますが、残り2年を切ったタイムリミットの中で、その道筋には険しい崖が立ちふさがっています。
SNS上では、この閉幕を受けて「改憲への執念は感じるが、現実は厳しいのではないか」といった冷ややかな意見や、「山積する問題を抱えたままの閉幕に納得がいかない」という厳しい声が飛び交っています。政府は次なる舞台として、2020年1月20日前後の通常国会召集を軸に調整を始めており、そこでの進展が政権の命運を握ることになるでしょう。首相は9日夜の記者会見で、自らが先頭に立って着実に歩みを進める決意を改めて表明しました。
相次ぐ逆風と「桜を見る会」が残した爪痕
2019年10月4日に召集されたこの臨時国会は、当初から激しい攻防の場となりました。関西電力の役員らによる金品受領問題に始まり、菅原一秀前経済産業相や河井克行前法相が「政治とカネ」を巡る不祥事で立て続けに辞任。これにより、首相の「任命責任」、つまり適材適所を見極めて人事を行う責任を問う声が野党から噴出しました。さらに、大学入試への英語民間試験導入の見送りといった教育現場の混乱も重なり、政権の足元は大きく揺らぎました。
なかでも、首相主催の「桜を見る会」を巡る疑惑は、内閣支持率を下落させる決定打となりました。後援会関係者が多数招待されていた不透明な運用に対し、野党は「公金の私物化」であると追及を強めています。9日の会見で首相は、国民からの批判を真摯に受け止めると述べ、これまでの運用を反省し、自らの責任で全般的な見直しを行うと「低姿勢」な態度を崩しませんでした。この「低姿勢」の裏には、長期政権ゆえの緩みに対する国民の厳しい視線をかわしたいという、強い警戒感がにじみ出ています。
憲法改正への執念と「死に体」回避への戦略
こうした逆風は、改憲プロセスの停滞という形で現れました。憲法改正の内容を国民に問うための手続きを定める「国民投票法改正案」の採決は、これで5つの国会にわたって先送りされています。衆院憲法審査会で自由な意見交換が行われたことは「一歩前進」と首相は周囲に語っていますが、与党内からは「任期中の実現は諦めたのではないか」との疑念も漏れ聞こえます。これに対し、首相はビデオメッセージを活用して党員を鼓舞するなど、決して旗を降ろさない姿勢を強調しています。
専門用語で「レームダック(死に体)」と呼ばれる、政権末期に影響力を失う状態を避けるため、首相が握り続けているのが「衆議院の解散・総選挙」という強力なカードです。野党が改憲論議を拒み続けるのであれば、国民の信を直接問うという大義名分のもと、いつでも解散に踏み切る準備があることを9日の会見でも示唆しました。改憲に必要な「衆参両院での3分の2以上の議席」を確保し続けるためには、野党内の改憲前向き派との連携も欠かせません。
個人的な見解を述べれば、これほど多くの不祥事や疑惑が噴出しながらも、なお改憲への意欲を最優先事項として掲げる姿勢には、政権の強固な意志を感じざるを得ません。しかし、真に国民の理解を得るためには、まずは「桜を見る会」などの不透明な疑惑を完全に払拭し、政治への信頼を取り戻すことが先決ではないでしょうか。2020年の通常国会が、単なる政争の具ではなく、国民の将来を見据えた誠実な議論の場となることを切に願います。
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