日本の南極観測をリードする国立極地研究所において、あまりにも残念なニュースが飛び込んできました。情報・システム研究機構は2019年12月25日、同研究所の田辺優貴子助教を懲戒解雇処分にしたと発表したのです。極地での植物研究において第一線で活躍し、その端麗な容姿や情熱的な活動から多くのファンに親しまれていただけに、科学界のみならず一般市民の間でも大きな衝撃が走っています。
処分の直接的な原因となったのは、43回にも及ぶ出張旅費の不正受給でした。具体的には、宿泊費を水増しして請求したり、実際には発生していない架空の旅費を計上したりする手口を繰り返していたとのことです。不正に受け取った総額は約132万円に上ります。こうした資金の中には、私たちの血税を原資とする文部科学省の補助金や「科研費」が含まれており、公的研究費の重みを考えると決して看過できる事態ではありません。
ここで解説が必要な「科研費(科学研究費助成事業)」とは、人文学から自然科学まで、あらゆる学術研究を発展させるために国から交付される助成金です。厳しい審査を経て若手研究者に配分される貴重な原動力ですが、今回の不祥事はこうした信頼のシステムを根底から揺るがしてしまいました。SNS上では「憧れの研究者だったのに裏切られた」「多忙すぎて感覚が麻痺したのか」といった悲しみや困惑の声が溢れ、トレンドを賑わせています。
南極に咲く情熱を汚した裏切り行為
田辺氏は第58次南極地域観測隊員として過酷な環境での調査に従事し、極地に根を張る苔や藻の生態を鮮やかに描き出した著作も世に送り出してきました。研究者としての実績は確かであり、自然への愛を語る姿に勇気づけられた読者も多かったはずでしょう。しかし、どんなに素晴らしい研究成果を上げていたとしても、不正に手を染めてしまえばその輝きは瞬く間に失われてしまいます。
私個人としては、研究者が事務作業や資金調達に追われ、本来の学問に集中できない環境があることも否定できないと感じています。それでも、倫理観を欠いた私的流用は許されるべきではありません。今回の事件は、個人の資質の問題にとどまらず、研究機関全体の管理体制を厳しく問い直す契機となるはずです。科学を志す若者たちが、この記事を見て夢を諦めないことを切に願ってやみません。
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