2019年11月19日、米国防総省の監察官が議会へ提出した報告書により、シリア情勢の緊迫した実態が明らかになりました。国防情報局(DIA)の分析によれば、シリア北部からの米軍撤退とトルコ軍による軍事侵攻が、一度は壊滅状態に追い込まれた過激派組織「イスラム国(IS)」にとって、勢力を立て直す絶好の機会を与えているといいます。平和への足音が聞こえ始めたかに見えた中東情勢ですが、再び不透明な霧に包まれようとしています。
このニュースを受けてSNS上では、「せっかくの努力が水の泡になるのではないか」という不安の声や、「米軍の不在が力の空白を生んでいる」といった批判的な意見が相次いでいます。DIAは、ISがシリア国内での資産や軍事能力を修復させていると指摘しました。さらに、海外でのテロ計画を練る能力も強化しつつあるというのですから、事態は極めて深刻です。私たちが注視すべきは、ISが単なる潜伏組織に留まろうとしていない点でしょう。
リーダー殺害の衝撃は限定的?ISが維持する不気味な結束力
2019年10月にはISの元指導者アブバクル・バグダディ容疑者が殺害され、世界中にその報が駆け巡りました。しかし、今回の報告書では、この出来事が組織に与えるダメージは限定的であると結論づけています。DIAの専門的な見解では、ISは「作戦の継続性」と「世界的な結束」を維持する仕組みを既に構築しており、カリスマ的な指導者を失ったとしても、その脅威の火種が消えることはないという厳しい現実を突きつけています。
ここで解説が必要な「作戦の継続性」とは、中央指令部が機能不全に陥っても、各地の細胞組織が独立して活動を続けられる構造を指します。ISはこのシステムを磨き上げることで、軍事的な打撃を吸収する驚異的な回復力を手に入れたと考えられます。長期的な視点で見れば、彼らはシリアの一部の都市で再び支配権を奪取し、世界規模での影響力を拡大させることを目論んでいるのでしょう。この野心は、かつての恐怖を再燃させかねません。
シリア政権側がISの掃討に全力を注ぐ可能性が低いという指摘も、懸念をさらに深めています。私は、トランプ政権による米軍撤収の決断が、地政学的なバランスを大きく崩してしまったと感じざるを得ません。現場の秩序が失われた隙を突くテロ組織の強かさは、過去の歴史が証明しています。国際社会が再び連帯し、情報の空白を埋める対策を講じなければ、シリアは再び混沌の渦へと飲み込まれてしまうのではないでしょうか。
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