2020年01月01日、ついに次世代の通信インフラである5Gの足音がすぐそこまで迫ってきました。この全く新しい技術は、私たちが大好きな音楽フェスやスポーツ観戦、さらには旅行といったエンターテインメントの領域に、これまで想像もできなかったような革新をもたらそうとしています。
5Gとは第5世代移動通信システムのことで、現在の4Gと比べて通信速度が劇的に速くなり、データのやり取りにおけるタイムラグがほぼ無くなるという画期的な規格です。各通信大手はこの5Gと、仮想現実と呼ばれるVR技術を掛け合わせた新感覚の体験創造に向けて、日夜実験を繰り返しているのです。
VRとは、専用のゴーグルを装着することで、コンピューター上で作られた仮想空間にまるで自分が入り込んだかのような感覚を味わえる技術のことです。今年の東京オリンピックでも、この技術を使った開会式や一部競技の配信計画が進んでおり、本格的な普及への期待がかつてなく高まっています。
離れていても熱狂を共有できる音楽フェス
2019年07月下旬に開催された野外音楽イベント「フジロックフェスティバル」では、驚きの光景が広がりました。ソフトバンクが設けた特設ブースでは、VRのヘッドセットを被った人々が手を突き上げながら大きな歓声を上げていたのです。これは5Gを活用したVR映像配信サービスの体験デモでした。
参加者は仮想空間に用意されたライブ会場へ、自分の分身であるアバターとして降り立ちます。目の前の巨大スクリーンには実際のフジロックの熱狂がリアルタイムで映し出され、コントローラーを持った参加者の動きに合わせてアバターも躍動する仕組みになっていました。
特筆すべきは、新潟の会場と東京の六本木をネットワークで繋ぎ、遠く離れた場所にいる人々が同じライブ映像を共有して一緒に盛り上がれた点です。SNS上でも「自宅にいながらフェス友達と騒げる未来が最高」「通信制限を気にせず大容量のライブ映像が楽しめるなんて夢のよう」といった歓喜の声が多数見受けられました。
スポーツ観戦と旅行の常識も変わる
スポーツの世界でも、革新的な取り組みが次々と始まろうとしています。KDDIは横浜DeNAベイスターズとタッグを組み、2020年春頃を目標に横浜スタジアムにて5GとVRを駆使した新感覚の野球観戦サービスをスタートさせる予定です。好きな角度から選手たちの熱戦を楽しめる自由視点映像は、ファンにとってたまらない機能になるでしょう。
さらに携帯電話事業に新規参入した楽天も、2019年10月にテニスの国際大会において5Gを用いたライブ中継の実証実験を成功させました。同社はプロスポーツチームも運営しているため、遠隔地からでもスタジアムの熱気を生々しく感じ取れるような次世代観戦サービスの早期実用化を目指して奮闘しています。
また、遠くへ出かけなくても現地の空気を味わえる「遠隔旅行」も夢ではありません。KDDIなどが出資するベンチャー企業のテレイグジスタンスは、VRゴーグルと特殊な触覚センサーを用いて、旅行先に配置した人型ロボットを遠隔操作できる驚きの技術を開発しました。
2019年度中には、小笠原諸島を舞台にした遠隔旅行ツアーの商品化が計画されています。自宅にいながら自分の指を動かし、遠く離れた海で暮らすウミガメに餌をあげる体験ができるなんて、まるでSF映画のワンシーンのようです。5Gの超低遅延という特性が、こうしたリアルタイムの遠隔操作を可能にしています。
5G時代の幕開けと私たちが描く未来
しかしながら、これらの最先端技術が一般家庭へ広く普及するには、まだいくつかのハードルが存在します。専門機関の予測によると、2023年時点での5G対応スマートフォンの国内出荷台数は約870万台にとどまり、市場シェアも約28パーセントに過ぎないと見込まれています。まだまだ4Gが主役の時代は続きそうです。
加えて、高度な仮想現実を存分に楽しむためには、高性能なスマートフォンだけでなく専用のVRゴーグルなどを別途購入しなければなりません。海外の状況に目を向けても、中国やアメリカの一部都市で5Gサービスの提供が開始されたばかりで、世界規模での本格的な普及は早くても2023年頃になると予想されています。
インターネットメディアの編集者として私は、この5GとVRの融合が単なる娯楽の進化にとどまらないと確信しています。身体的な問題や経済的な理由、あるいは地理的な制約によって、これまでライブや旅行への参加を諦めざるを得なかった人々へ、平等に素晴らしい体験を提供する希望の光となるはずです。
そのためには、通信キャリアやメーカーが協力して端末の価格を抑える努力を続けるとともに、私たちが「どうしても体験したい」と思えるような魅力的なコンテンツを生み出し続けることが不可欠です。ハードとソフトの両輪が力強く噛み合ったとき、私たちのライフスタイルは根本から覆り、より豊かで自由な世界が訪れると強く信じています。
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