2019年6月1日、日本の寄付文化に大きな影響を与えてきた「ふるさと納税」制度が新たな局面を迎えました。過熱する自治体間の返礼品競争に歯止めをかけるため、国が主導する新制度がスタートしたのです。この改正により、返礼品は「寄付額の3割以下」かつ「地場産品」に限定され、さらに優遇措置を受けられる自治体は国から指定された団体のみとなりました。この抜本的な変更は、ふるさと納税の利用にどのような変化をもたらすのでしょうか。「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクの須永珠代社長に、当時の状況と展望を伺いました。
須永社長は、新制度が始まったからといって、ふるさと納税全体が急激に縮小することはないとの見解を示しています。2017年度には前年度比28%増の3,653億円という寄付金額を記録するなど、利用者の裾野は拡大してきました。実際に、2019年2月に実施されたアンケートでは、ふるさと納税経験者の97%が「今後も利用したい」と回答しており、ユーザーの関心の高さがうかがえます。個人の年間寄付総額7,000億円規模と比較しても、税額控除のメリットが大きいふるさと納税には、本来の趣旨である「寄付」の位置づけを浸透させれば、さらなる総額を伸ばす潜在力があるとお話しくださいました。
🎁競争から共創へ!返礼品の裏側で問われる「資金使途」の重要性
これまでのふるさと納税は、豪華な返礼品が寄付を集める主要な競争源でした。しかし、新制度の施行により、今後は「寄付の集め方」や「使い道」がより一層問われることになります。私はこの流れこそが、ふるさと納税が本来持つべき「地域を応援する」という意義を深める好機だと考えます。返礼品目当ての「お買い物」感覚から、社会課題解決への「投資」へと意識が変わるタイミングでしょう。
その有効な手段として須永社長が挙げるのが、「ガバメントクラウドファンディング」です。これは、特定の資金使途を明確にして寄付を募る仕組みで、資金調達に苦労しているNPOやまちづくり団体と自治体が連携することで、具体的な社会課題解決を後押しすることができます。例えば、東京都墨田区では、美術と音楽の街づくりを目指し、音楽団体への資金調達にふるさと納税が活用された事例もあるとのことです。
🚨「総額5割以下」ルールがもたらす自治体への影響とSNSの反響
新制度では、返礼品に充てる費用を寄付額の3割以下とする既存のルールに加え、送料や手数料などを含む「総額」を5割以下に抑えることが求められています。須永社長によれば、多くの自治体から「総額5割は厳しい」という声が上がっているのが実情です。特に、冷凍食品など輸送コストが重くなる品目を扱う北海道のような大消費地から離れた地域では、影響が大きくなると懸念されます。
この「5割ルール」については、SNS上でも「自治体の努力を無視した規制ではないか」「返礼品を3割に抑えるのは理解できるが、物流コストまで制限されるのは地方にとって痛手だ」といった意見が散見されました。しかし、トラストバンクが運営する「ふるさとチョイス」では、制度改正後もギフト券などの取り扱いはなく、メニューはほぼ変わらない方針だといいます。このことは、自治体の政策力や創意工夫が試される新たなフェーズに入ったことを意味しており、「買い物難民」支援や福祉、教育分野など、未来への投資につながる寄付を呼びかけられるかどうかが、今後の成功の鍵を握るでしょう。
💡「流出」ではなく「循環」へ!寄付金の最適な活用を
大都市圏の自治体からは、ふるさと納税による住民税の流出に対する不満の声も聞かれます。これに対し、須永社長は、都市から税が流出しているのは事実としつつも、流出した税金が「日本全体で良い使い道に充てられているなら、良いのではないか」との考えを示されています。「取った、取られた」という視点ではなく、国全体のお金の流れとしてプラスであるかどうかが重要だというのです。私は、この視点こそがふるさと納税の未来に最も必要な姿勢だと強く共感いたします。
ふるさと納税は、単なる「税金の移し替え」ではなく、国民一人ひとりが自分の意思で税金の使い道を選び、日本の地域社会を支える「資金循環」の仕組みへと進化するべきでしょう。2019年6月からの新制度は、まさにその進化を促す「カンフル剤」となるに違いありません。寄付者としては、返礼品の魅力だけでなく、寄付金がどのような社会貢献に使われるのか、その「志」に注目して自治体を選ぶことが、今後ますます大切になってくるでしょう。
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