石川県金沢市に本店を構える金沢信用金庫が、このたび融資営業や金融商品の販売などにおいて、店舗や職員に課していた目標(ノルマ)を全面的に廃止いたしました。これは、短期的な成果を追い求める行動を抑制し、徹底した顧客目線の業務遂行を促すことで、結果的に中長期的な取引の拡大へと結びつけることを目指す、非常に意欲的な取り組みと言えるでしょう。メガバンクや一部の地方銀行(地銀)で先行して始まったこの**「ノルマ廃止」の流れが、いよいよ信用金庫にも本格的に波及し始めたことは、地域金融機関のあり方を考える上で大きな転換点**となりそうです。
具体的な措置として、金沢信用金庫は人事評価制度を改定し、貸出金や預かり資産といった項目に関する従来の数値目標をすべて撤廃しました。これに伴い、目標達成度に応じてボーナスを加算していた給与体系も見直されています。従来の仕組みでは、短期的な成果を追求するあまり、資金需要が見込める大口の取引先への営業が中心となりがちでしたが、ノルマをなくすことで、創業間もない取引先への細やかなサポートなど、まさに顧客本位の行動がより引き出されることが期待されます。職員の皆さんが、数字に追われることなく、真にお客様のためになる提案に集中できる環境が整ったと言えるでしょう。
この金沢信金の決断は、地域金融機関の働き方改革としても注目されています。同金庫は石川県内で32店舗を展開し、約420人の職員が勤務されていますが、近年の地域金融機関への就職希望者が伸び悩む傾向を考慮し、働きやすさと待遇改善にも積極的に取り組んでいます。例えば、2019年度からは大卒総合職の初任給を1割引き上げたほか、職員のベースアップも実施されました。さらに、2019年夏には女性事務職の制服を廃止するなど、多様な働き方を尊重する姿勢を明確に打ち出しています。これらの施策は、優秀な人材を確保し、定着率を高めるための重要な一手であり、ノルマ廃止と相まって、職員のモチベーション向上にもつながるはずです。
このような**「顧客第一主義」への大胆な方針転換と、「働きやすい職場環境」の整備は、信用金庫が地域に根差した金融サービスを提供し続ける上で、必要不可欠な要素だと私は考えます。目先の利益を優先するのではなく、地域社会の持続的な発展に貢献することこそが、信用金庫の本来の使命でしょう。SNSでは、「ノルマに縛られず、じっくり顧客と向き合えるようになるのは素晴らしい」「職員もハッピーになり、結果的に地域経済の活性化につながる」といった肯定的な反響が多く見受けられます。金融機関の過度な目標達成至上主義への構造的な問題提起**として、この取り組みに対する世間の関心は非常に高いと言えるでしょう。
一方で、金沢信用金庫が2019年6月3日に発表した2019年3月期の連結決算は、純利益が9億5,500万円と、前の期に比べて50%減少しました。この大きな要因としては、前の期に計上されていた貸倒引当金(かしだおれひきあてきん)の戻入益(もどしいれえき)がなくなった影響が大きいとのことです。貸倒引当金とは、将来、取引先の倒産などで貸したお金が回収できなくなるリスクに備えて、あらかじめ計上しておく損失の見積もりです。戻入益は、この引当金が実際には必要なくなった場合に、利益として計上し直すことを指します。特別な利益が計上されなかったため、減益となったわけです。
そして、2020年3月期の業績については、人件費などのコスト増加を見込んで、前期比5%減益となる9億1,000万円を見込んでいます。短期的には人件費の上昇などで利益は伸び悩む見通しですが、今回のノルマ廃止や働き方改革といった先行投資が、顧客からの信頼を高め、地域に必要とされる金融機関としてのブランド価値向上に寄与し、長期的な収益力強化につながることを期待したいところです。地域金融の未来を占う上で、金沢信金の今後の動向からは目が離せません。
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