韓国の光州で開催されている2019年世界水泳選手権。2019年07月14日に行われたアーティスティックスイミング(AS)のデュエット・テクニカルルーティン(TR)決勝にて、日本の乾友紀子選手と吉田萌選手のペアは惜しくも4位という結果に終わりました。予選では3位のウクライナを猛追し、逆転での表彰台獲得に大きな期待が寄せられていましたが、本番では逆にその差を広げられる厳しい展開となっています。
SNS上では「乾選手の表現力は圧倒的だったけれど、やはり世界の壁は厚い」「吉田選手の成長も目覚ましいだけに悔しい」といった、二人を労いながらも結果を惜しむ声が数多く寄せられました。今大会のデュエットTRにおいて、日本が生命線としていたのは、磨き上げてきた高い技術力です。しかし、ふたを開けてみれば、得点の核となる「エレメンツ」の評価でもライバルに及ばず、完敗を認める形となりました。
ここで言う「エレメンツ」とは、競技の中で必ず行わなければならない規定要素のことで、フィギュアスケートのジャンプのように、正確な技術が厳格に採点されます。吉田選手は試合後、予選時よりもエレメンツの出来が悪かったと唇を噛み、表情には隠しきれない落胆が滲んでいました。近年のAS界では選手の大型化が顕著になっており、水しぶきを豪快に上げるようなパワフルで迫力のある演技が主流となっています。
小柄な日本ペアは、この世界的なトレンドに対抗すべく、決勝の舞台で感情を爆発させるような力強い泳ぎを見せました。手足を激しく水面に打ちつけ、必死に体格差を補おうとする姿勢は観客の心を打ちましたが、一方で課題も露呈したようです。勢いを重視するあまり、本来の持ち味である繊細さや緻密な同調性が崩れ、演技全体のバランスが乱れてしまった印象は拭えません。
エースの乾選手に食らいつこうと急成長を見せてきた吉田選手ですが、この日は勝負どころで脚や胸の高さにバラつきが出てしまい、先輩との実力差が目立つ結果となりました。乾選手自身も、規定要素をこなしながら、それ以外の部分でいかに演技にメリハリをつけるかという難しさに直面し、苦悩を深めています。技術の正確性と、トレンドである迫力の両立という、非常に高いハードルが二人の前に立ちはだかっているのです。
現在の勢力図を塗り替えるためには、これまでの延長線上ではない「何か」が必要でしょう。指導に当たる井村雅代ヘッドコーチは、一発逆転を狙うような「ギャンブル」に近い打開策の必要性を示唆しています。個人的な見解としては、日本伝統の美しさを守りつつ、いかにして審判の目を引く「強さ」を融合させるかが鍵になると感じます。大会期間中にこの難題を突破し、日本ASの意地を見せてくれることを期待せずにはいられません。
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