インバウンドの熱気に沸く京都の街並みに、今、大きな変化の波が押し寄せています。京都市内で2022年ごろまでに計画されている新規建設のうち、なんと約3割をホテルが占めていることが判明しました。これは大阪市の2割や神戸市の1割を大きく上回る突出した数字です。外国人観光客の増加に伴い、客室稼働率が高く利益を出しやすい宿泊事業への投資が集中した結果といえます。しかし、この華やかな建設ラッシュの裏側では、すでに過酷な生存競争が始まっているのです。
ネット上では「京都のホテルが増えすぎて情緒が薄れるのでは」「手頃な宿が減って気軽に旅行しにくくなった」といった懸念の声が上がっています。その一方で、「世界的ホテルが揃うのは楽しみ」という期待の声もあり、街の変貌に対する関心は高まる一方です。実は宿泊施設の完成件数は2019年の145件をピークに、2020年は101件、2021年は31件と急減する見通しとなっています。長年続いた宿不足を解消するために乱立した結果、市場はすでに飽和状態を迎えています。
京都市の試算によると、2021年3月末時点の市内客室数は約5万7000室に達し、当初の目標を大幅に上回る見込みです。現場の不動産業者からは「週に3件はホテル売却の話が出る」という悲鳴にも似た声が漏れており、今後はサービスや立地で劣る施設の淘汰、つまり「市場から消え去る現象」が本格化するでしょう。これまでの「数」を競う時代は終わり、これからは「選ばれる理由」を持たない宿泊施設にとって、極めて厳しい冬の時代が到来することになりそうです。
こうした過当競争に拍車をかけているのが、京都特有の深刻な土地不足です。三方を山に囲まれた京都は、景観を守るために開発が厳しく制限される「風致地区」が戦前から設定されています。そのため郊外への拡大が難しく、開発は中心部に集中せざるを得ません。そこで各社が打ち出した苦肉の策が、歴史的建造物の跡地利用です。小学校や老舗の料亭、旅館の跡地といった、京都の歴史が染み込んだ空間をリノベーションして活用する動きが活発になっています。
例えば2019年10月には清水寺の近くに「パークハイアット京都」が開業し、同年11月には金閣寺近くに「アマン京都」がオープンしました。さらに2022年にはシンガポールの高級ブランド「バンヤンツリー」が東山の老舗跡地への進出を計画しています。これらは1泊1室10万円を超えることも珍しくない超高級路線です。これからの京都観光は、単に観光客の数を増やす「量」の観光から、富裕層を呼び込んで地域に深い恩恵をもたらす「質」の観光へと、大きく舵を切るべきだと私は考えます。
震災から25年を迎えた神戸の逆襲!オフィスビル建設ラッシュと街の再開発
一方、1995年1月17日の阪神・淡路大震災から25年という節目を迎えた神戸市では、京都とは異なるダイナミックな街づくりが動き出しています。神戸市中央区の計画ではマンションが約5割を占めるものの、行政主導による大規模なオフィスビルの建設が相次いでいます。これまで震災復興の影響で遅れていた中心部の再開発が、ここにきて一気に加速している印象です。現在の神戸はオフィスの空室率が2%を下回るほど床不足が深刻で、需要は限界に達しています。
JR三ノ宮駅の南東側では、神戸市が主導する32階建ての高層複合ビル計画が進んでおり、民間でも阪急電鉄が駅直結のビルを建設中です。こうした動きに対しSNSでは「神戸の活気が戻ってくるのが嬉しい」「新しいオフィスで働きたい」といった前向きな意見が目立ちます。神戸は外資系企業の誘致にも成功しており、街のポテンシャルは十分に高いと言えます。今後は2020年7月に施行されるタワマン規制条例を見据え、大阪などのライバル都市に負けない独自の魅力作りが鍵となるでしょう。
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